■遊ぶなんてもったいない?ほど美しいカラフル豪華な「手毬」

「伝統工芸品」として人気の、「手毬(てまり)」。

何重にも巻いた美しい色合いの糸で幾何学模様を描くように作られたカラフルな毬は、最近ではもっぱら装飾品として扱われることが多くなっています。


その色柄があまりにも美しいので、むしろついたり投げたりして遊ぶなんてもったいない!という気持ちにもなるのではないでしょうか?

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手まり/Wikipedia

手毬は、元々は女性や女の子が屋内外でついて遊ぶためのおもちゃでした。俳句では「新年」の季語となっていることからもわかるように、江戸時代から明治時代頃には「正月の遊び」とされていました。

■「毬」の歴史

日本における毬の歴史は意外にも古く、奈良時代に遡ります。唐風文化とともに古代中国の「唐」からやってきた毬は、2枚の鹿の皮を縫い合わせて作られ、中身は中空となっていた「蹴鞠(けまり)」でした。

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これは毬を蹴り上げて向かい側の人にパスし、毬を落とした人が負けというルールで、いわば「足で行うバレーボール」のような遊びでした。平安時代以降に京都の貴族の男子の遊びとして行われるようになった他、神事として行われることもありました。

江戸時代に入ると、足の代わりに手で投げ上げて地面に落とさないように受け止める「手鞠」が登場します。そして弾力性のある木綿(もめん)が普及すると、手毬は床でついて楽しむ遊びに変わりました。

初期の頃の手毬は、草木染の糸しかなかったために多くが地味な色合いだったようですが、織物の残り糸などで作ったものは大変美しかったため、参勤交代で江戸へ来たお姫様や、正月に帰省する御殿女中などが国許へ持ち帰ることで広まっていったと言われています。

現代では化学染料が普及したため、一般人でもカラフルな色糸をつかった豪華絢爛な手毬が作れるようになりました。また、より良く弾む「ゴムまり」が普及してからは、手毬はおもちゃというよりは「美しい工芸品」「装飾品」として愛されるようになっています。

■現代の手毬の作り方って?

手毬は、もみがら・古着・布団綿・ヘチマ・海綿など、様々なものを芯にして、その周りに「地割り(じわり)」と呼ばれる糸を張り、針でかがるように糸を張って作っていきます。


最近では発泡スチロールのボールを使ってより簡単に手毬を作る方法も、インターネット上で紹介されています。
(参考リンク:初心者OK♪誰でも簡単に作れる手毬の作り方をご紹介♡)

気になる方は、お正月やひな祭りに向けて「自分だけのとっておき」を作ってみるのも楽しいかもしれませんね!

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