日本語では敬語は大きく3つに分かれています。
まずは相手そのものや行為に対しての敬意を表す「尊敬語」。例えば、「言う」という言葉は、「おっしゃる」になります。語頭に「お」や「ご」をつけるのも尊敬語にあたります。
「お」と「ご」の使い分けは意外と難しいですが、一般的に「お」は和語や訓よみする言葉につけ、「ご」は漢語、音読みする言葉につけるといわれていますが、例外もたくさんあります。たとえば外来語には就けない、一文の中でいくつもの言葉につけないなどの決まりもあります。このあたりは普段の読書や話の中で身に着けていきます。
そして、「謙譲語」は、自分がへりくだることで、相手の立場を持ち上げて敬うものです。例えば「言う」は謙譲語だと「申す」「申し上げる」「申し上げます」となります。
最後に「丁寧語」は、言葉を柔らかく変化させるもので、「言う」は、「言います」となります。ちなみにこの記事は丁寧語で書かれています。丁寧語は日常生活でも割と頻繁に使っている言葉かもしれません。
この3つの基本形からさらに分岐・派生していったものが日本の敬語ですが、そのルーツは古代まで遡るといわれています。というのは、神様を下ろしたり送ったりするような神事で使われていた言葉、すなわち祝詞こそが敬語の元になっているという考え方です。
祝詞の言葉はやがて、宮中の言葉と交じり合い、簡略化されて敬語となっていきました。相手を敬うだけの表現がやがて洗練され、へりくだるという謙譲語の考え方が産まれたのは平安時代ごろといわれています。
参考
- 原沢 伊都夫『日本人のための日本語文法入門 』(2012 講談社)
- 末岡 実『正しい敬語』(2017 阿部出版)
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan