記録集は証言や資料をまとめ、今年の2月に斎藤実顕彰会が出版したところ完売し、このほど増刷されました。
■斎藤実の妻、春子の人物像
斎藤實[さいとうまこと](1858~1936)は昭和恐慌のなか、第30代内閣総理大臣に就任。
その妻、春子は、旧薩摩藩士の出身で国際派の女性として夫を支えてきました。
しかし斎藤實は2・26事件の凶弾に倒れてしまいます。

その後、第二次世界大戦の折の昭和20(1945)年3月、斎藤の遺品や自宅の家具等全てを持ち、夫の故郷、岩手県水沢市(現:欧州市)の邸宅に疎開。
大戦後もこの地へ留まり、最初の水沢市名誉市民となった春子夫人は、昭和46(1971)年、99歳で亡くなられるまで邸宅で静かに暮らしたそうです。
この邸宅が現在、斎藤実記念館となっています。

■斎藤実記念館に展示されている品とは…?
春子が東京から持ってきたものは、記念館の展示品となり、貴重な歴史的史料から当時の日常品という文化史的・民俗学的資料がそのまんま残っています。

事件の時、銃弾を浴びひび割れた鏡も展示されていますし、襲撃された時斎藤が身に着けていた血濡れの就寝着や枕もあります。

春子自身も夫をかばって銃弾3発を受ける重症でした。
撃たれたときの春子の寝巻き、銃弾が貫通した跡がはっきり分かる綿入れなども並んでいます。
春子が斎藤に宛てた手紙には、「恋ひしき実さまへ」と書かれており、仲睦まじいご夫婦であったと想像がつきますね。

■記録集の名は「うつならこの私をうってください!」
この記録集は生前の春子を直接知る人の証言を集めており、資料的価値も高いと評価されています。
価格は1500円。連絡先は斎藤実記念館 0197(23)2768。

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan