日本が世界に誇る文化のひとつ「アニメ文化」。とても可愛らしい美少女キャラクターたちが、多くの人を魅了していますよね。
このアニメ文化の源流ですが、実は1000年以上前から続く日本の伝統文化だったことをご存じでしょうか?

日本人がずっと昔から持ち続けてきたアニメ文化の真実をご紹介します。

■平安時代の美人画

日本アニメの源流は平安時代?平安美人の肖像画に秘められた世界...の画像はこちら >>


紫式部の肖像画

結論から言うと、アニメ文化の源流を最も色濃く表しているのが「平安時代の美人画」です。あるいは、女性歌人が描かれた百人一首の絵札を思い浮かべてみるとイメージしやすいかと思います。

目が細長くて、額のやや上に描かれた太い眉(引き眉)、そして真っ白い顔(白粉)に赤くて小さなおちょぼ口。そしてふくよかな顔の輪郭に真っ黒な歯(お歯黒)。現在の感覚とは大きく異なりますが、これが当時の美人の条件だったことは広く知られています。昔の美人画は、ほぼ例外なくこのような姿で描かれていますよね。

しかし、今からおよそ1000年前の平安時代の女性たちが皆、平安美人のような顔をしていたのでしょうか?もちろんそうではありません。目が大きくクリっとした女性もいれば、逆に小さい女性もいたでしょう。ふっくらした丸顔の人もいれば、面長な顔の人もいたでしょう。現在と同じように、当時もいろいろな顔の人がいたはずです。

では、なぜ当時の美人画は皆あのような姿で描かれているのでしょうか?それは、平安美人の肖像画とは、当時の美的感覚を抽象化したものだということです。


つまり、現実世界に平安美人のような顔をした人が大勢いたわけではない、ということです。

■抽象的な日本人の肖像画

現代のアニメに登場する美少女キャラクターたち。絵のタッチに多少の差異はあれど、大きな瞳に小さな口、面長過ぎずないやや丸顔の輪郭をした可愛らしい顔という点では、概ね共通しているのではないでしょうか。

では、今の世の中を見渡した時、アニメの美少女キャラクターみたいな人たちが現実世界にたくさんいるのかと言われれれば、ほとんどいないですよね。つまり、今の美少女キャラクターも、現在の美的感覚を抽象化して描いたものなのです。

今と昔で美的感覚は大きく変化していますが、「美的感覚を抽象化している」という点でうは、平安美人もアニメの美少女キャラクターも全く変わっていないのです。

この「抽象化」こそ、日本人の得意とするところなのです。例えば、西洋の偉人の肖像画を思い浮かべてみてください。わかりやすいところでは、小学校の音楽室に飾られていたベートーベヴェンなどの音楽家がイメージしやすいかもしれません。西洋の肖像画ってとても写実的でリアルに描かれていますよね。

日本アニメの源流は平安時代?平安美人の肖像画に秘められた世界に誇る日本アニメ文化の真実


写実的な西洋の肖像画

一方、日本の偉人たちを描いた肖像画を思い浮かべてみると、写実的とは程遠いタッチで描かれています。平安美人だけでなく、織田信長や源頼朝と伝わる肖像画も、決してリアルではありません。
明らかに「絵」です。そして、現代のアニメも同じで、可愛らしいキャラクターではあっても写実的ではありません。

この「人物を抽象化する技」を、日本人は古来より得意としてきました。平安時代よりもさらに遡れば、埴輪や土偶なども人や動物などを抽象化したものですし、太古の昔から日本人の遺伝子には「抽象化して表現する」ことが刷り込まれているのかもしれませんね。

そして、その遺伝子が現在まで受け継がれ、世界に誇る日本のアニメ文化として花開いているのです。

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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