ではネットがなかった時は・・・・・・?
今回はそんな昔の日本の婚活のお話です。
■2月はお稲荷さんで街コン!?
突然ですが、初午(はつうま)というのをご存知でしょうか?
2月の最初の午の日に、老若男女誰もがこぞって稲荷神社を詣でるという風習です。そもそもは京都の伏見稲荷神社に神が降臨したのが西暦711年の2月11日で、それが2月最初の午の日だった事がこの風習の始まりだそう。
平安時代には京都で広まり、江戸時代には関東でも大流行していました。今は節分の方が有名ですが、当時は節分よりもこの初午のイベントで盛り上がってたんです。
なんでそんなに盛り上がったかというと、なんとその日は稲荷神社がナンパ&大婚活パーティー会場と化していたのです!
■平安時代の説話集にも登場
平安時代の説話集「今昔物語集」にも、初午の稲荷で出会いを求める男女の様子が描かれています。既婚の男が初午の日に稲荷詣で綺麗な女の子をナンパしたら実はそれが変装した自分の奥さんで、ぶん殴られたというアホなエピソードなんですけどね。
とにかくそんなわけで、「初午の稲荷詣は出会いの場」というのが昔の人の共通認識でした。
■初午婚活イベントは超お得
考えてみれば2月の初午の日に大勢の人が同じ日に一斉に稲荷神社を詣でる事で縁結びを願う若い男女の出会う確率が必然的に上がるはずで、ネットのない時代においてはかなり効率の良い婚活イベントだったと考えられます。

楊洲周延「江戸風俗十二ケ月之内 二月 初午稲荷祭之図」国立国会図書館
更に江戸時代には参道に地口行灯を並べて飾ったり赤い幟を立てたり、朝から太鼓を打ち鳴らしたりしてハッピーな雰囲気で盛り上げたので、成立したカップルはその喧騒の中で、人混みに紛れてお祭りデートを楽しめたのです。
「あそこのお稲荷さんで良い人に出会えた」となれば神社の評判もあがりますし、神社にとっても参詣する人にとってもお得な良いイベントだったようです。
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