「京都の寺社」と言えば「古い歴史を持ち、重要文化財や国宝に指定されているものも少なくない」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
たしかに「聖徳太子ゆかりのお寺」として知られる広隆寺(603(推古天皇11)年創建)や「京都で最も古い禅寺」である建仁寺(1202(建仁2)年創建)など、京都には歴史あるお寺や神社がたくさんあります。
その一方で「京都を代表するお寺」として有名だけれど、意外なほど新しい寺社も存在します。
かつての平安京の大内裏を思わせるような社殿の華やかさで有名な平安神宮も、そんな寺社の1つです。
■明治時代に京都の復興を願い創建された平安神宮
色鮮やかで華やかな平安神宮が京都市左京区に創建されたのは、なんと1895(明治28)年3月15日。
学生時代に聞いたことのある「鳴くよウグイス平安京」の語呂合わせのとおり、794(延暦13)年に平安京へ都を移したことで知られる第50代桓武天皇と、江戸時代最後の天皇で同時に「京都で過ごした最後の天皇」となった孝明天皇をご祭神とする神社です。
平安遷都1100年を記念して京都で開催された内国勧業博覧会の目玉として「平安京の大内裏の一部を復元」を目指しこの神社が創建された背景には、幕末~明治の京都の衰退がありました。

かつて都として栄華を誇った京都の町は幕末の戦乱により荒廃し、さらに明治維新によって首都が東京へ移ったことにより、その衰退ぶりは決定的なものとなってしまっていました。
「古き良き京都を取り戻し、後世に伝えていこう」
そんな多くの人々の祈りを込め、平安神宮は「現代の平安京」としてよみがえったのです。
■社殿は平安京の正庁を約8分の5で再現!
平安神宮は、最初は実際に大内裏があった千本丸太町に朱雀門を建てる計画となっていたほど、本格的に「京の都の再現」を目指したものでした。
しかしそれは、残念ながら実現はしませんでした。理由は用地買収の失敗で、このため現在の平安神宮の所在地となっている京都府京都市左京区岡崎に変更となります。

華やかな朱色を基調とした大極殿(だいごくでん・外拝殿)・応天門(おうてんもん・神門)・蒼龍楼(そうりゅうろう)・白虎楼(びゃっころう)・歩廊・龍尾壇(りゅうびだん)などの主要な建物は、創建当時に造られたもの。
その後1940(昭和15)年に孝明天皇がご祭神に加えられた際、本殿・祝詞殿・内拝殿・翼舎・神楽殿(かぐらでん・儀式殿)・額殿(がくでん)・内外歩廊斎館・社務所などが増改築されました。
1976年(昭和51)年1月6日に発生した「平安神宮放火事件」では本殿・内拝殿などが焼失しましたが、ご神体と大極殿(外拝殿)は延焼を免れました。
この時、まだ新しい神社でこれらの建物が文化財指定を受けていなかった平安神宮は「再建・復興のための国からの補助金が見込めない」という大ピンチに見舞われたものの、全国からの募金によって再建されます。
他の京都の寺社と比べて歴史は浅くとも、既に平安神宮が人々から広く愛される存在となっていたことが伺えるエピソードですね。
現在では大極殿で国の主要な儀式が行われるようになり、重要文化財に指定されるなど、名実ともに「京都を代表する神社」となっています。
参考
- 平安神宮公式サイト
- WIkipedia「平安神宮」
- 平安神宮が愛される理由とは?基本情報、見どころをまとめました
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan