みなさんは、「歌合(うたあわせ)」という言葉を聞いたことがありますか?

ここで言う「歌」とは和歌・短歌のことで、「歌合」は歌を比べて優劣を争う遊びです。一見楽しそうに聞こえる歌合ですが、実は歌以外も見られていたポイントがあるなど、奥深い世界なんです。


そこで、今回の記事では、そんな歌合について、歴史や用語、代表的なものなどとともに詳しくご紹介したいと思います!

■歌合っていったい何?いつから始まったの?

歌合は、歌人を東西(左右)の2組に分けて、1対1で歌を詠み合い、その優劣を1番ごとに争う遊び・大会です。歌合の歴史は古く、平安時代から始まったと言われています。

初めは貴族たちの遊びでしたが、次第に和歌ついての知識なども争われ、歌の優劣が出世にも影響を与えたことから政治色も帯びて、気軽なものではなくなっていました。

評価されるポイントは単に歌の良しあしだけではなく、衣装や焚く香りなども含まれていたようです。

■一番古い歌合は?有名な歌合は?

平安時代から始まった「歌合」のあれこれ。見られているのは歌だ...の画像はこちら >>


狩野探幽『三十六歌仙額』より 在原業平

記録に残っている歌合のなかで、最も歴史が古いものは、仁和元年(885年)頃に在原業平が開催した「在民部郷家歌合(ざいみんぶのきょうゆきひらのいえのうたあわせ)」だと言われています。

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ほかにも有名な歌合として、藤原良経が開催し12人が参加した「六百番歌合」や後鳥羽院が開催し30人が参加した「千五百番歌合」などがあります。

ちなみに、この「六百番歌合」と「千五百番歌合」は、「新古今和歌集」の選集の元にもなっています。

■歌合で使われる用語

平安時代から始まった「歌合」のあれこれ。見られているのは歌だけじゃなかった


歌合は、使われる用語もまた独特なものがあります。

例えば、方人(かたうど)とは、歌合の歌を提出する人(つまり作者)を指します。また、念人(おもいびと)とは、自分たちの陣の歌をほめて、敵陣の歌の欠点を指摘する、ディベート係のような役割を担いました。

そして、重要なのが判者(はんざ)と呼ばれる人。読んで字のごとく、歌の優劣を判断して勝敗を決める役割です。
ちなみに、勝ち負けだけではなく、「持(じ=引き分け)」とすることもありました。

いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも歴史に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

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