「あなたの名前はなんですか?」そう聞かれたら、ほとんどの方が「名字+名前」で答えると思います。しかし、この「名字+名前」というスタイルになったのは、意外にも近代になってからでした。


では、それ以前の日本ではどのような名前のルールがあったのでしょう?そこで今回の記事では、意外と知らない日本人の名前の歴史をご紹介したいと思います。

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■昔の日本人は最大で5つの名前の種類があった!?

明治より前の日本では、最も多い場合で5つの種類があったと言われています。それは、苗字、通称または字(あざな)、氏、姓、そして諱。以下でそれぞれについて詳しくご紹介していきます!

字、氏、名字、姓、諱…長すぎ?昔の日本人は最大で5つもの名前...の画像はこちら >>


■通称または字(あざな)とは?

通称には、生まれた順番などによって決められた名前や役職などが使われたそうです。そして、男性の場合は字(あざな)と呼ばれる中国風の名前が使われることもありました。

通称とはいえ、以下でご紹介する諱(いみな)は呼び名として不適切であり、名字だと紛らわしかったことから、通称が呼び名として相手を呼ぶ際に用いられました。

■氏(うじ)とは?

氏(うじ)とは、同じ先祖の血族集団を表す名称でした。一族を表すものでしたが、同じ名を名乗る人が増えてきたため、名字が登場しました。

■名字とは?

名字は、その人がどの家の人物なのかをより細かく表しているものとなります。

■姓(かばね)とは?

姓(かばね)とは、その人の地位を表す名前です。
ちなみに、氏と姓は古代の大和朝廷のころに作られた制度とされています。当時、姓は、朝廷内におけるその人の地位を表していました。

■諱(いみな)とは?

最後にご紹介する諱(いみな)は、言葉こそ聞きなれないものだと思いますが、現代の「名前(本名)」にあたるものが諱でした。『忌み名』にも繋がることから、気軽に他人から呼ばれるものではありませんでした。

また、特に女性はこの諱を結婚相手にしか教えなかったようです。その理由は、この諱がその人の霊的人格と結びついていると考えられたため。

同じ理由から、誰かを呪ったりするときには諱が用いられたそう。

■わかりにくい!ならば実例で紹介!

ここまでご紹介してきた5つの種類ですが、実例を見ないとなかなか理解できないかもしれません。有名な歴史上の人物を見てみましょう。

字、氏、名字、姓、諱…長すぎ?昔の日本人は最大で5つもの名前の種類があった


例えば織田信長。彼のフルネームは「織田三郎平朝臣信長」なのですが、これを分解してみると、「織田」が名字、「三郎」が通称、「平」が氏、「朝臣」が姓、そして「信長」が諱です。

もうお一人、徳川家康のフルネームは「徳川次郎三郎源朝臣家康」ですが、「徳川」が名字、「次郎三郎」が通称、「源」が氏、「朝臣」が姓、そして「家康」が諱となります。


いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも歴史に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

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