…ご存知と言われても知らないよ?って人は、国民的映画「男はつらいよ」を一度は見てほしい!
寅さんが喋る早口言葉は地口といって、洒落の一種で語呂 (ごろ) 合せのこと。
火鉢と猫(フォトACより)
かつて室内の暖房器具は今と違い、電化製品ではなく囲炉裏や火鉢、竈の炭火くらいのものでした。寒がりの猫は、起きている間は炬燵や火の側にいればいいのですが、夜になると火を消した後の温かい竈の灰の中で眠ってしまうことも。
当然、朝になると猫は灰だらけでのっそり這い出して来るというわけです。
これが俳句の季語にもなっている「灰猫」。
そして俳人・富安風生(1885~1979)によって「竈猫(かまどねこ)」という造語が生み出され、師匠の高浜虚子に認められたことで、新しい季語となったのです。
「何もかも 知つてをるなり かまど猫」富安風生家の中のことは暖かい場所も寒い場所もよく知っている。そして誰もいないと思いきや、竈の中には猫がいて、その家の秘密なら何でも知っているぞ、という二つの意味が含まれている俳句です。
岩手県花巻には口元が黒い郷土玩具も 岩手県花巻には、江戸時代の享保年間(1716~1735)に作り始められたという「花巻人形」と呼ばれる郷土玩具があります。この地方では灰猫を「釜猫」と呼んでいたようで、様々な花巻人形の一つの種類として「釜猫」が古くから作られてきました。特徴は、顔から竈に突っ込んだように口の周りがぐるりと黒いところ。髭の濃い男性のようでなんだかおかしみがあります。
地方によっては「へっついねこ」と呼ぶことも。宮城県では竈猫(へっついねこ)という地酒まであります。いずれも寒い地方で竈猫はなじみのある存在だったようですね。
「猫洗う」は春の季語 「灰猫」「竈猫」が冬の季語であるのに対して、春の季語になっているのが「猫洗う」です。冬の間、毎日のように煤だらけになる猫が、ようやく竈に籠らなくなったのでいよいよ洗うか、という春を感じさせる季語です。
あの小林一茶(1763~1828)も一句詠んでいます。
猫洗ふ ざぶざぶ川や 春の雨甕に溜めた貴重な飲み水ではなく、近所の河原でざぶざぶ洗われているさまが目に浮かびますね。いずれも人と猫が古い付き合いだということがよくわかりますね。
参考サイト:コトバンク、ペットゥモロー
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