蛸と海女
寛政の改革で下火になった春画をこの絵で一気に盛り返し、歌川派が台頭するまでの間は北斎派が席巻したといいます。
さて、見た目のインパクトで絵ばかりが注目されますが、この大蛸が一体何を話しているのか、気になりませんか?春画は余白に「書き入れ」という台詞があり物語になっています。
その現代語訳がこちら!
大蛸「いつかきっとと狙いすましていた願いが叶い、きょうという今日、ついに憧れの海女を捕まえた。本当にむっくりとしたいいぼぼだ。芋よりもずっと好きだ。さあ吸いつくして十分満足させてから、思い切って龍宮へ連れて行ってかくまっておこう」
海女「あれ、にくい蛸だ。(喘ぐ)奥の子宮の口を吸われるので、息がはずんで、ああええもう本当に。その疣(いぼ)でこりゃどうするのだえ、(喘ぐ)疣で陰裂をいらいらいと(喘ぐ)こりゃどうするんだよ。(喘ぐ)まただよお。今まで私を人が蛸だ蛸だと言ったが、、、どうしてどうしてこの(喘ぐ)」
大蛸「なんと八本の足のからみ具合はどうだ。あれあれ中がふくれあがって、湯のような淫水がぬらぬらどくどく」
海女「ええもうくすぐったくなって、ぞっと腰に力が入らなくなって、義理も境もなくなって気が行き続けだ(喘ぐ)いいよいいよ」
小蛸「親方が終わったら、またおれがこの疣で陰核の頭から尻の穴まで擦って気をやらせた上で、また淫水を吸いだしてやるによ、チウチウ」
…ふう…。えっろ! えろい!北斎やばいです。
書き出すだけで恥ずかしくなります。
海女はもう正体不明で何を言っているのかわかりません。最初は憎いといいつつも、最後にはいいよと言っているので、まんざらでもないようす。
気になったのが蛸が「芋よりもずっと好きだ」と言ってますが、蛸って芋食べるっけ…?
また子蛸が口を吸ってますが、なかなか憎たらしいセリフを吐いてますね。
こりゃ当時の人も衝撃の過激さだったのではないでしょうか。
北斎は他の春画『富久寿楚字(ふくじゅそう)』でも海女の情事を描いているので(こちらは人間の男(笑))、海女に憧れがあったのでしょうか?
蛸は自分自身の投影された姿だったのかもしれませんね。
参考:江戸の春画を知りたい(gakken mook)
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