しかし、鳥居がいつから神社で用いられているのか、また鳥居と呼ぶのかは何故なのかはわかっていないんです。
都名所之内 伏見稲荷社(貞信、国立国会図書館より)
■古くは於不葦御門(うへふかずのみかど)と呼んだ
奈良時代は屋根のない門という意味の「於不葦御門(うへふかずのみかど)」(皇太神宮儀式帳)といって神社建築の門の一種とされており、平安時代には「鳥居」と称され現在の形が確立したといわれています。
鳥居の形の代表的なものとしては、鳥居上部の横柱が一直線になっている「神明鳥居」と、この横柱の両端が上向きに反っている「明神鳥居」があります。このほか、明神鳥居の横柱上部に合掌形の破風のついた「山王鳥居」や、また朱塗りの「稲荷鳥居」など特徴的なものがあります。
■天照大神を誘い出した鶏、インド由来…諸説あるが決定打なし
・天照大御神が天の岩屋に隠れた際に、八百万の神々が鶏を鳴かせて岩戸から誘い出そうとしました。そのときに止まり木を置いて鳴かせたのが「常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)」で、その止まり木が起源であるとする説。
・神話や古墳の壁画などから、古代の日本人は死者の霊が鳥の姿になるという考えもあるため、鳥居はそうした霊魂をとどめるためという説。また、筑波山にも伝説が残りますが、神話では一羽のセキレイがイザナギとイザナミに生殖方法を授けたとされています。日本神話で最初に登場する生き物であるため、止まり木として鳥居が作られた。
・中国の「華表」に由来という説。伝統建築様式に用いられる標柱で、宮殿や陵墓へ続く参道の入り口両側に置かれました。
・インド仏教寺院やヒンズー教寺院の門、トーラナ由来説。仏教伝来の際に、鳥居となったと考える説です。
筆者は形としてはトーラナが凄く似ていると感じました。ただ仏教伝来よりも前に鳥居の原型があったとすれば、鳥を神聖視する神話に日本人の心が反映されている気がしました。しかし、なぜ鳥居の形になったのか?の答えにはなっていませんね。
■神社の原型は古代ユダヤ人がもたらした?
日ユ同祖論というのをご存じでしょうか。古代日本と古代ユダヤとの間に共通点となる言葉や儀式があることから、ユダヤ人が渡来していて日本の文化や歴史に大きな影響を与えたのでは、という考えです(日本の一部にユダヤの血を引く末裔がいるという考えもあります)。
日本人の祖先はヘブライ人?日本人はユダヤの失われた十支族の末裔であるとする「日ユ同祖論」
この論は別の機会に紹介するとして、今回は鳥居に着目しましょう。ユダヤには「過ぎ越し祭」という重要な日があります。
旧約聖書で、エジプト人の奴隷であったヘブライ人(ユダヤ人の先祖)がモーセに率いられてエジプトを脱出するときのこと。神はヘブライ人を助けるため、エジプトに災厄をもたらしました。エジプト中の長子を殺す際に、目印としてヘブライ人に小羊の血を入口に塗るように示唆します。
日本の特に古い神社の鳥居も赤く塗られていることが多く、ここから先は守られた聖域だという「結界」という意味合いを持っているところに共通点があります。
紀元前3300年ごろ、ユダヤ人は初めて移動可能な神殿(幕屋)を作り上げましたが、そこにはいくつかの共通点があります。

復元された幕屋(Wikipediaより)
・神殿の幕の内側に赤い色が使われている
・聖所・至聖所・拝殿に分かれている
・明かりをともす常夜灯がある
・手を洗う水盤がある
・賽銭を入れる箱がある
・神殿入り口には二つの柱を立てる
などなど。内部の構造も日本の出雲大社や伊勢神宮に似ているとのこと。
いかがでしたか? 神殿や建築物は左右対称になることが多いですし、門のような構造物を造れば全世界で自然と似通ってしまっただけなのかもしれませんが、日本がその位置から、大陸を経由した文化や文明の終着地点となってもおかしくはないですね。
参考:神社本庁、ユダヤと日本 謎の古代史(マービン・トケイヤー、産業能率大学出版部)
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