フリーマーケット、通称「フリマ」はさまざまな場所で目にしますね。
ところで意外と知られていませんが、実はこのフリーマーケットの「フリー」は、自由という意味ではありません。
この語源と、日本のフリーマーケットの歴史を探ってみましょう。
外国のフリーマーケット
フリーマーケットの起源は1860年頃、フランスの露天市である「marche aux puces」だと言われています。英語に直訳すると「flea market」で、これが日本でフリーマーケットと呼ばれるようになりました。
では、この「puces」や「flea」は何を意味するかというと、あの害虫の蚤(のみ)です。
つまり、フリーマーケットはもともと「蚤の市」という意味なのです。
蚤の市と呼ばれるようになった理由についてはいくつか説があります。まず、フランスの蚤の市が、元々古い絨毯を売る場だったとする説です。
古い絨毯には蚤がいてもおかしくありません。さらに、蚤がついていそうなくらい古い衣類や物が出品されていたともいわれています。
また、他にも商品を見に集まる人々のことを蚤に例えたとする説や、商品が蚤のように人々の手をぴょんぴょんと移っていく様子を意味しているとする説があります。
■アメリカの「ガレージセール」
このように、フリーマーケットの語源は「flea market」なのですが、日本では自由に品物を見てほしいという意味をお客さんに分かりやすく伝えるために「free market」と表記する場合もあります。
そんな日本のフリーマーケットの始まりは約50年前のことで、もともとアメリカ式のやり方を採用していました。
アメリカでのフリーマーケットの起こりは、アメリカ西海岸の不用品を自宅のガレージで売る「ガレージセール」であると言われています。
それがだんだんと公園や広場など広い場所に会場が移り、「フリーマーケット」や「スワップミート」と呼ばれる集団での不用品の売買が一般的になっていきました。

アメリカ・ローズボウルの巨大フリーマーケット
そしてこのフリーマーケットが1975年の「アメリカ建国200年祭」に伴って、日本国内の雑誌などで紹介されました。
これがきっかけで、1979年10月に大阪で日本フリーマーケット協会が開催したフリーマーケットが開催されました。これが、日本初のフリーマーケットといわれています。
■弘法市に骨董市、そして……
しかしこれよりも前から、日本でも広場や神社の境内で不要な物を売るという文化がありました。縁日の境内で骨董品や古着、がらくたなどを広げる、いわゆる骨董市です。

骨董市
こちらの起源は京都の東寺で行われる「弘法市」だと言われています。弘法市には、弘法大師すなわち空海の遺徳を偲ぶため、御影堂での法要に毎年多くの人が集まっていました。
で、こうした人々をターゲットとした露店が立ち並ぶようになり、その中に骨董や不用品の売買を行うお店ができたのです。
現代はたまたまフリーマーケットという言葉でひとまとめになっていますが、実際にはそれぞれの国ごとに露店での不用品売買の文化や習慣があったのです。
それが、時に他国のやり方を取り入れたりして時代にあわせた変化を遂げたのでしょう。
参考資料
- フリーマーケットとは – Latte
- 蚤の市の語源 – 銀色アンティーク
- フリーマーケットの本来の意味は”蚤の市”であり”自由”ではない。 – 雑学.com
- 東寺・弘法市
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan