味のみならず栄養面や保存面なども考えた家康が選んだ銘品は、没後400年を超えた今も全国各地の名産品として人気があるのです。
今回は、そんな「天下取りが愛した食材」と、2023年9月からスタートした徳川家康ゆかりの食材・食文化を学んで味わう、イベント「武士のめし」についてご紹介します。
■全国にある家康お気に入りの食べ物
戦国武将の中でも、食に関しては健康に人一番気を遣っていた徳川家康。質素ながらも体にいい食生活を、家来たちにも推奨していたとか。
しかしながら、その反面「新しもの好き」で柔軟な考え方を持ち、「よい」と聞いたり思ったりしたものは積極的に取り入れていました。
家康が気に入ったことで、その「土地の名産品」になり、数百年経った今でも人気の食べ物が各地にあるのはご存じですか?
時を超え今も愛される家康のお気に入り
『従一位右大臣 征夷大将軍源家康公』(写真:wikipedia)
家康のお気に入りは、今も知られているものばかり。皆さんも食べたことがあるでしょう。
【草加せんべい】

草加せんべい(写真:wikipedia)
江戸時代、重要な米の産地であった埼玉県・草加市。農家では、米を粉に挽き蒸して練り、薄くのばし塩をまぶして焼いたものをおやつに食べていました。
それが、領内を巡視していた家康の目に止まり「保存食としても優れている」と推奨したことから「草加せんべい」が名産品となったそうです。
【安倍川餅】

安倍川もち(写真:wikipedia)
安倍川上流の検分の際、茶店で「つきたての餅に、きな粉をまぶしたもの」を食べた家康。茶店の者に餅の名前を尋ねたところ「安倍川の砂金をまぶした金粉餅です」と答えたとか。
【佃煮】

静岡市の桜エビの佃煮(写真:wikipedia)
本能寺の変のあと、追手が迫ったことから摂津の佃村周辺まで逃げ、さらに船で逃げ延びた家康。そのとき、船を提供し保存食の佃煮も差し入れてくれたのが佃村の漁民でした。
その後、家康は佃村の人々を江戸「佃島」に呼んで住まわせ「佃煮」作りをさせたことから佃島の名物となったそうです。
ほかにも、三河から伝えた「混ぜ寿司」、風味のよさに魅せられた各地の「奈良漬」、味・風味・保存性の高さから三河武士の兵糧として推奨した「八丁味噌」、薬草のスイカズラ(忍冬)を本格みりんに漬け込んだお酒「忍冬(にんどう)酒」、初夢に見ると縁起がいいとされている「一富士・二鷹・三茄子」にちなんだ「折戸なす」など、いろいろあります。
■徳川家康にまつわる食イベント「武士のめし」

「武士のめし」(静岡県中部地域局)
こちらもご覧ください!
- 武士のめし」公式HP
- 「武士のめし」家康と食にまつわる物語(静岡県中部地方曲)
戦国時代に今川・北条・武田・徳川がしのぎを削った「武士の国」静岡県では、2023年の9月から徳川家康ゆかりの食材や食文化のストーリーが分かるパネル展示と、実際に「武士のめし」を味わえるイベントを開催しています。
【後編】で詳細をご紹介しましょう!
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan