基本的に将軍以外は男性禁制という独特の世界といえば、大奥です。将軍の跡継ぎを産む女性はもちろんのこと、将軍や正室の御台所(御台様)に仕える奥女中もここで暮らしていました。


「女中」の「中」は敬称の意味で使われる言葉なので、「女中」は「奥に勤める女性の方々」という意味だったそう。

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■大奥を運営したのは誰?

大奥の主人といえば、御台所。でも、実際に取り締まるのは、御年寄でした。さらに御年寄は上臈(じょうろう)御年寄と御年寄に分かれており、大奥女中の最高位が上臈御年寄。御台所の話し相手が仕事で、茶の湯や生け花などにつきあっていたようです。

一方、御年寄(老女)は、万事を取り仕切り、表向きの政事にも発言していたので、かなり忙しそうですね。とはいえ、歩き回る忙しさはなく、千鳥之間という部屋でまったく動かず、女中に指示するのみ。いわば、司令塔といえるでしょう。

■大奥の職にはどんなものがあったの?

御年寄の下には、実に多くの職がありました。ざっと紹介してみると…。

・御客会釈(おきゃくあしらい) 将軍が大奥へ御成りのときに接客します。御年寄へのステップアップとも言われていました。


・中年寄 御年寄の指示に従うほか、御年寄の代理を務め、食事の献立を指示・味見も大事な仕事です。

・御中臈 将軍付、台所付があります。身辺の世話が主な仕事ですが、将軍のお手がつくと側室となりました。

・御錠口(おじょうぐち) 中奥と大奥を結ぶ御錠口で、人の出入りを、寝ずの番で交代で監視します。中奥に使える奥之番から将軍からの御用も取り次ぎます。

・御小姓 御台所、姫君のお側に仕えるのが仕事で、7歳~14歳くらいの高級旗本の娘。彼女たちは、16歳ごろになると御中臈に。

・御表使(おもてづかい) 外交官としての役割を果たし、諸大名家の奥との交渉を担当するほか、大奥で必要な買い物リストの作成も。

・御右筆 大奥に関する文書を担当し、秘書官としての役割を果たします。

・御次 行事などの余興で、歌舞や音曲を披露し、盛り上げます。中には将軍の目にとまって、御中臈になれる者もいたとか。

・御切手書 奥女中の宿舎である長局(ながつぼね)と外部の出入り口である七ッ口を管理・監視するのが、仕事です。


・御伽坊主(おとぎぼうず) 50歳前後で、羽織袴を着用した坊主頭の将軍の雑用を行います。唯一、中奥への出入りを許されていました。

・呉服之間(ごふくのま)将軍と御台所の服の裁縫を担当します。将軍付・御台所付と分かれていたようです。

このほかにも、まだまだいろんな職種があった大奥。最大の出世が、将軍の寵愛を受けて跡継ぎを産むことでした。将軍の目にとまりたいがために、あの手この手を使ったそう。出世を夢見て、日々大奥という世界で、仕事に励んでいたのですね。

参考文献:図説大奥の世界, 教科書に出てこない江戸時代

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