毎年9月11日から21日まで行われる芝大神宮(東京都港区)の例大祭が、今年も開催されています。
芝大神宮は、寛弘2年(西暦1005年)に創建、江戸時代には幕府の保護を受けて「関東のお伊勢さま」として庶民に大人気だった由緒ある神社。
芝大神宮の周辺はその昔しょうが畑が広がっており、祭りになると境内やその界隈にしょうが市が出て、葉しょうがやしょうが湯などを売ることから、「生姜祭り」とも呼ばれます。
広重、豊国「江戸自慢三十六興 芝神明生粋(部分)」国会図書館蔵
お祭りの名物の一つでもあるしょうがは、「芝神明宮(芝大神宮の当時の呼び方)のしょうがを食べると風邪を引かなくなる」と言われ、江戸時代から大人気でした。葉しょうがは大変身体にいいので、季節の変わり目にはかかせない薬味ですよね。
しょうがにまつわるこんな川柳もあります。「甘口の 言葉はゆかず 葉しょうがの 辛き目をする 市の人ごみ」(葛飾北斎「東都名所一覧」より)。しょうが市でのあまりの人混みでひどい目にあった、という内容がおもしろく詠まれています。

渓斎英泉「芝神明宮祭礼生姜市之景」国会図書館蔵
■人気の開運アイテム
ショウガ以外にも、芝大明神で大人気のご利益アイテムがあります。小櫃をかたどった曲物を大中小三段重ねにした、千木筥(ちぎばこ)です。もともとは芝大神宮の千木(お宮の屋根の天辺から飛び出ている木材)の余材をけずって作られたために千木筥と言われるのだそう。
「千木」=「千着」に通じるところから、千枚もの着物が買えるほど裕福なところに嫁げるという言い伝えがあり、江戸時代の女性は、良縁や良い着物がたくさん増えることを祈って、千木筥をタンスにしまったんだそうです。

千木筥は、外面に乙女心くすぐる可愛らしい藤の花が描かれており、見た目にも華やか。昔は、箱の中に飴やいり豆が、現在は大豆が入っていて転がすとカランカランと小粋な音がします。
芝大神宮の魅力はほかにもたくさん。境内には、江戸の雰囲気を現代に残すみどころがあちこちに散らばっていますので、こちらもお見逃しなく。め組の喧嘩の舞台となった同宮は、祭礼期間のみ遠島になった半鐘を公開するそうで、一見の価値あり。江戸の情緒たっぷりのだらだら祭り、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
平成29年だらだら祭: 東京・芝大神宮
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