日常生活ではあまり見聞きすることのないこの2つの言葉は、どのような由来で使われるようになったのでしょうか?
■太ってお腹の出た「アンコ型」
「アンコ型」とは、丸々と太ってお腹が出た体型の力士を指します。「憎らしいほど強い」とまで言われた元横綱・北の湖、現在タレントとして活躍する元大関・小錦、「スイーツ親方」と呼ばれる元横綱・大乃国などが、このタイプの代表的な力士です。
アンコ型という名前の由来は、あんぱんなどに入っている「あんこ」ではなく、魚の「アンコウ」から。
お腹がふくれてぷよぷよした手触りのアンコウが、太った体型の力士に似ていることから、このように呼ばれるようになりました。
■細身で筋肉質な「ソップ型」
一方の「ソップ型」は、細身の力士のことです。「ウルフ」と呼ばれた元横綱・千代の富士、現在何かと話題の貴乃花親方の父でもある元大関・初代貴ノ花、強烈な張り手で何人もの巨漢力士を一瞬で倒した元小結・旭道山などがこのタイプの代表的な力士です。
「ソップ」とは、現代で言う「スープ」のことです。江戸時代にオランダから外来語として入ってきた当初、スープは「ソップ」と発音されていたのです。

それが力士の体型を表す言葉になった理由は、スープのダシを取るのに「鶏ガラ」を使うことからでした。鶏ガラは骨ばっていることから、痩せている力士を指して「ソップ型」と呼ぶようになったのです。
■力士の理想の体型はどっち?
長い間、力士の理想の体型は「アンコ型」とされてきました。安定感やパワーの面では、体重が重い方が有利だからです。
一方、食糧事情の良い現代において関取まで昇進してもソップ型という力士は、元々太りにくい体質の場合が多いようです。千代の富士や霧島のように、体重が増えず苦労した経験を語っている元力士もいます。その代わりソップ形には、身体の軽さやスピードを生かした相撲で巨漢力士を倒すなど、会場を盛り上げて人気者となる力士も多くいます。
「強くなって勝ち続けるためには日々の稽古が重要」という点では、どちらのタイプの力士も変わらないようですね。
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