最近その絵柄のきれいさからか、外国人にも人気のあるカードゲーム「花札」。「子どもの頃に熱中した」という方も多いのでは?かくいう筆者も、子どもの頃、兄が花札のコンピュータ・ゲームで遊んでいるのを見て育った世代です。


さて、この花札、もともとは賭け事のとして遊ばれていたものでした。現在ある日本語のなかには、この花札が由来する言葉も多くあります。

シカト、ピカイチ…意外に多い?「花札」から生まれた日本語たち...の画像はこちら >>


今回は、そんな花札由来の言葉をいくつか集めてみました。

■シカト

誰かを無視するときに使われる言葉の「シカト」。若者が使っている言葉のイメージがありますが、じつは花札の絵柄を由来とする昔からある言葉なんです。

「シカト」は、漢字で「鹿十」と書きます。10月札の「紅葉に鹿」の「鹿」が横を向いていることから、物事に対してそっぽを向いたり無視することを「シカト」と言うようになったそうです。

かつては「しかとう」といっていたものが、いつの間にか一文字省略されて「シカト」になっていったそうです。

■ピカ一(ピカイチ)

物事の中で抜きんでて優れた様子をあらわす「ピカ一」。この言葉も花札賭博に由来しています。

花札の中には「光り物」と呼ばれる20点の札が5枚あります。花札賭博にはいろいろなルールがありますが、そのうちのひとつには、配られた7枚の札の中に光り物が1枚だけあり、残り6枚がカスのときに、「ピカイチ」という役になります。


このことから、大勢がいるなかの一つだけ傑出したもののことをピカイチと呼ぶようになりました。

■ボンクラ

いつもぼんやりとして物事がわかってない人を指す言葉の「ボンクラ」。これも花札をはじめとした、さまざまなギャンブルが行われていた昔の賭博場で生まれた言葉です。

「ボンクラ」とは漢字で書くと「盆暗」となります。「盆」は「賭博場」のことを指し、「暗」は「負けてばかり」の様子を表す言葉です。このことから、ギャンブルで負けてばかりの人を「ボンクラ」と呼ぶようになりました。

「ギャンブルで負けてばかりいる人は、いつもぼんやりして物事がわかってないから負ける」ということから「ボンクラ」が使われるようになったとされています。

■「三下」

「三下」とは、「どこの三下でえ!」「この三下野郎が!」と、相手を見下げて呼ぶ言葉。もともとは、花札などで行う「カブ」という名前の賭け事に由来します。

カブは、二枚の花札をひいて、合計が九に近いほど強いという博打。二枚合計して「三」や「二」ではほとんど勝ち目がないので、「三」より下の数はまるで価値がありません。

このことから、相手を見下し、馬鹿にする言葉として「三下」という言葉が生まれたとされています。


いかがでしたでしょうか。今回取り上げた言葉は、花札由来の言葉のうちのほんの一部です。

もしかしたらまだまだあるかもしれませんよ。是非、探してみてくださいね。

参考

  • Qライターズ倶楽部『ことばのおもしろ雑学事典』(西東社)
  • 山口 佳紀編『なるほど語源辞典』 (講談社ことばの新書)
  • 武光 誠『歴史から生まれた日常語の由来辞典』(東京堂出版)


日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

編集部おすすめ