「なんで味噌って『みそ』って言うんだろう?」
さっそく調べてみたところ、その語源は味噌の起源にありました。
「美味しい味噌ができました」ところどころ豆粒が残っているのはご愛敬。
■未だ醤にならぬ「未醤(みそ)」から、賑やかな味の「味噌」に
現在伝わる味噌は日本に独自の調味料とされていますが、その原形は中国大陸より伝来したという説もあります。ただ、いずれの説であってもその在り方については概ね同じであるため、ここでは日本発祥説に基づいて紹介していきます。

日本における味噌の原形は、大豆を塩蔵(塩漬け保存)して出来た「醤(ひしお)」とされ、海水を原料とする製塩技術が始まった縄文時代後期~弥生時代からと考えられています。
醤とは現代でも「醤油」などが伝わっているように、塩漬けにした食材が発酵・液状化した調味料で、音読みだと「しょう」又は訛って「そ」とも呼ばれたそうです。

米麹(こめこうじ)。現代の味噌づくりでも活躍。
やがて古墳時代に入ると麹(こうじ)菌による発酵技術が導入されたことでより品質も安定化、そして奈良時代に入ると、大宝律令(大宝元701年「大膳職」条)に初めて「未醤(みそ)」の名前が登場します。
未醤とは漢文の授業で習った通り「未だ醤にならず」と読み、つまり「まだ醤=液体状になっておらず、豆粒の形が残ったペースト状態」を指し、現代の味噌にかなり近い形状と考えられます。(※醤とは、現代でも味噌の上澄みとして出て来る「たまり」のことと考えられます)
他にも「味醤」「美蘇」と当て字され、そして現代の「味噌」などと表記されるようになっていきました。
ちなみに「噌」とはいわゆる国字(こくじ。和製漢字)で味噌意外にあまり用例が見られないものの、訓読みで「かまびすしい」との意味があります。
ワイワイガヤガヤと賑やかな様子、あるいは賑やか過ぎてうるさい様子を表わす言葉ですが、発酵によって生み出される複雑な味わい深さが当時の人たちにはとても新鮮で、まるで口の中が賑やかに感じられたのかも知れません。
■終わりに
一晩水につけ込んだ大豆を柔らかく水煮にしてから擂鉢でこなし、塩と米麹と種味噌を丹念に混ぜ込んでから樽に仕込んだら、夏の暑さでよく発酵させてから天地返し(混ぜることで均質化)、そして晩秋から初冬にかけて出来上がります。

(左から)大豆を煮て、擂って、樽に詰めて……
味噌は古くから日本人の健康長寿を支えてきた健康食品で、別名「医者殺し」とも呼ばれたその栄養バランスは、世界的にも高く評価されています。
食生活もすっかり欧米化している昨今、故郷や祖国の風土が培った文化を見直し、出来ればそのルーツにも触れてみることで、先人からの恩恵を実感できるかも知れません。
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan