コロナ禍の年末年始。大手百貨店では密を避けるため、恒例となっていた店頭での「福袋」販売を大幅に縮小するなど、例年とは違った様相を見せた。
そうしたなか、コロナ禍何するものぞ! と強気なのが三越伊勢丹ホールディングスだ。話を聞いてみると......。
巣ごもり需要でクリスマスケーキやおせち料理は売り上げ増百貨店主要6社の2020年12月度の売上高は、軒並み前年比マイナスとなった。三越伊勢丹ホールディングス(HD)が11.7%減、そごう・西武が0.6%減、J.フロント リテイリング(大丸松坂屋百貨店)が17.8%減、松屋(銀座本店と浅草店)が26.7%減、高島屋が11.4%減、エイチ・ツー・オー リテイリング(阪急阪神百貨店)が16.5%減と、大幅にダウンした。
しかし、この状況を「想定の範囲内」とするのが、業界最大手の三越伊勢丹HDだ。
広報担当者によると、
「首都圏5店舗(新宿、日本橋、銀座、立川、浦和)の売り上げは前年比14.0%減ですが、悲観するような数字ではありません」
と話す。
「密」を避けるため、各百貨店とも年始恒例の福袋の販売を大幅に減らしたり、売り出しを前倒ししたりといった工夫を施した。三越伊勢丹HDの広報担当者は「(コロナの影響について)ないかと聞かれれば、なくはないでしょうけど...。例年のように(お客が)殺到するような光景はなく、その点では寂しいですけどね」と前置きしながら、「でも、巣ごもり生活が続いたことで、クリスマスケーキやおせち料理といった食品は前年より売り上げが伸びました」と語気を強める。
国内の富裕層が海外に行けなかった分......一方で、高級服飾品などはどうなのか、と聞くと、意外な答えが返ってきた。
三越伊勢丹HDの広報担当者は、
「確かに、海外のお客さまが(コロナの影響で)減ったのは事実です。その分、日本在住の富裕層も同じく海外に行けなかったこともあり、いわゆるラグジュアリー商品の売り上げは落ち込んでいませんし、影響がなかったと言えるでしょう。むしろ日本在住のお客さまだけで見ると、回復傾向にあります」
と話す。
また、首都圏5店舗での売り上げ減(前年比14.0%減)も「想定どおりといった感じです。もちろん中長期的に見れば、変わってくるのかもしれませんが、決して悪い数字ではないと考えています」と前向きに話した。
その理由は、新たに展開した販売戦略が奏功しているようだ。これまでのECサイトとは異なり、2020年11月から導入。スマートフォンのアプリを活用したもので、「動画で店員が接客する形で、お客さまは家にいながらでも百貨店でショッピングできる感覚」だという。
2021年1月5日時点では「新宿店の14店舗のみですが、オンラインでの販売は前年比1.5倍と好評をいただいております。今後は、さらに店舗数を増やしていく予定です」。
三越伊勢丹HDでは、伊勢丹新宿本店が福袋の9割以上をネット販売に移し、三越日本橋本店も大型催事をとりやめた。両本店の初売りの売上高は合わせて前年の6割にとどまった。
2020年の売上高累計をみると、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店の合計で前年比26.9%減と、昨年の落ち込みは「過去に経験したことのない数字」(広報担当者)としながらも、スマホアプリを活用しての新たな販路を模索していく構えだ。

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