「どうせ辞めるのだ。これまでの不満を全部ぶちまけてやる!」

会社を退職するとき、そう思う人もいるだろう。

しかし、「立つ鳥跡を濁さず」という言葉がある。感情的になって得をすることは一つもない。退職日までイヤな思いをしたり、退職手続きがスムーズに進まなくなったりすることもある。

そこで、転職支援サイトを運営するビズヒッツが「【円満退職のコツランキング】男女500人アンケート調査」を、2021年9月28日に発表した。少し、頭を冷やして参考にしてはいかが――。

会社ともめて退職までに2年間かかった人も

この調査は、転職経験者500人にアンケートを実施。

「円満退職できたか」や「円満退職のコツ」について聞いたが、71.4%の人が「円満退職できた」と答えており、「退職後も前の勤務先から仕事がもらえる」「前の同僚たちが相談相手になってくれている」など円満退職のメリットも聞かれた=左の円グラフ参照。

「円満退職できたと思う理由」を聞くと、こんな答えが多かった(カッコ内の年齢は退職当時)。

「製造業だったが、仕事量が減っていた時期だったためか、とくに何も言われずに退職できた」(女性、22歳)
「資格を活かしたかったから、みんな応援してくれた」(女性、25歳)
「会社側がしっかりと話を聞いてくれ、有休消化まですべてこちらの要求どおりになった」(男性、38歳)

など、タイミングの良さや、会社・上司が話を丁寧に聞いてくれたことを理由に挙げる人が多かった。

一方、円満退職できなかった人に理由を聞くと――。

「他にやりたいことができて、とにかく早くやめたいと急に辞める形になったため」(女性、23歳)
「規定である3か月前に退職を申し出てから、実際の退職まで2年かかった。『有給を消化したい』というと『人がいないのに非常識』と罵られた。
残業代も払われなかった」(女性、38歳)
「パワハラを受けて退職したから」(男性、45歳)

など、急に退職を申し出たため反感を買った人や、「いじめやパワハラ」が理由だったため、退職までもめた人もいた。なかには、なかなか辞めさせてもらえず、2年もかかったという人もいた。

「有給消化できなかった」「退職金がなかった」「離職票の発行が遅かった」「契約満了による退職だったのに、離職票には自己都合による退職と記載されて、労働局で訂正してもらった」など、手続き関係への不満も寄せられた。

早めに伝えて、本音を絶対言わないことが大事

では、円満退職のコツはなんだろうか。ランキング形式で聞くと、1位は「早めに伝えること」だった=表参照。

こんな例が参考になる。

「投げやりに突然伝えるのではなく、余裕を持って前もって退職を伝えるべきだと思います」(女性、27歳)
「退職する1年ほど前から、退職予定と転職について事前に伝えて、了解を得た」(男性、34歳)
「退職の報告から退職日まで充分な日数を設けた」(女性、47歳)

特に雇用期間の定めがない場合は、法律上は2週間前までに予告すれば退職できる(民法627条1項)。だが、会社側にも人員の補充や引き継ぎを考慮する事情がある。できるだけ早めに知らせたほうが円満に退職できると考える人が多かった。

2位は「日頃の人間関係」だ。

「もともとの人間関係だと思います。人間関係をよくしようと努めていた甲斐もあり、退職を悪く言われたことは一度もありません」(女性、23歳)
「日頃から上司と密にコミュニケーションをとっておくことに尽きます」(女性、39歳)
「退職した後も遊びに行けるぐらいの関係性をもつこと」(男性、42歳)

常日頃から可愛がってくれた上司の口添えで、もめずに退職できたという人もいた。

3位は「納得できる理由を用意する」だった。

「本当の理由は言わずに、差しさわりのない、やむを得ない事情で退職すると伝えるといいと思います」(女性、25歳)
「ライフステージの変化(結婚・出産)に合わせて退職する場合は、円満に送り出してくれます」(女性、30歳)
「前向きな理由で辞めることだと思います」(男性、32歳)

「自分にとってプラスになる転職だと伝える」「ポジティブな退職理由でないと、ダラダラ引き止められる」などの意見が多くあった。また、「退職理由など、本音で話す必要はない」というアドバイスも。間違っても、ズケズケと会社の不満や愚痴を言わないことだ。

なお調査は、転職経験者を対象に2021年7月28日~8月2日にインターネットで実施。500人(女性321人、男性179人)から回答を得た。

(福田和郎)