「いつかは正社員で転職したい」と思いながら、派遣社員や契約社員で働いている。「正社員で働きたい」と思いながらも、「年齢や経験的にムリかな...」と気持ちにフタをしている。

転職活動をしてみたけれど正社員で内定が出ず、「もう正社員になるのはムリかな...」とあきらめている。

このような人に読んでもらいたい一冊を紹介したい。今回は、転職して入社後に心掛けたい、振る舞いにフォーカスしていこう。

『アラフォー女性のための次こそ成功させる転職マニュアル』(山本しのぶ著)つた書房
新しい会社では「新入社員」 謙虚さが重要

入社後の第一印象をよくするためには、最初の対応が大切である。あなたがこれから一緒に働く同僚より年上でも、あるいは仕事の経験が長くても、新しい会社では「新入社員」という意識を持たなければならない。

「まわりの人があなたに注目しているはじめの時期こそ、率先して挨拶し、仕事の報告や連絡、相談などのコミュニケーションを通常よりも丁寧に行いましょう。
雑用も、進んで行ってくださいね。あなたが新しい会社に溶け込もうと率先して行動している姿を見れば、まわりの人もあなたと接しやすくなります」(山本さん)
「新しい会社に入社すると、これまで働いていた会社との違いが目につきます。前の会社にいた時はそれほど意識していなかったことも、違う会社で働くことで前の会社のよい部分が見えてきたり、入社した会社でムダと感じる部分や、仕事でもっとこうすればよいのにと思う部分が出てきます」(同)

「新しい目で会社や仕事を見て改善などの提案をしてくれることではありますが、タイミングやいい方には注意が必要です」と山本さんは言う。

「誰しも、今の仕事のやり方に問題があるかもと思っていても、いきなり来た人に指摘されると、あまりよい気分はしないものです。信頼関係ができていない状態でいきなり問題点を指摘されると、相手は批判されていると感じたり、上から目線でいわれていると受け取られることもあります」(山本さん)
「改善案を提案するのは、一緒に仕事をする人や上司と信頼関係ができ、仕事の成果が出せてからです。 時期の目安としては、入社後3か月~6か月くらいたってからが安全でしょう。
信頼関係の構築と、仕事で成果を出すことを優先させてください」(同)
「前職アピール」は、確実に評価を下げていく

社内で評価される人たちは、ポイントを抑えているものである。まずは、腰が低いこと。これだけでも、人から反発を買うリスクは下げられる。ここで、次の事例を紹介しよう。

<転職者によくあるシーン>

都内に本社がある、東京ネットワークス(仮名)は専門商社である。先月、大手総合商社出身の鈴木君(35歳)がマネジャーとして転職してきた。

しかし、社内の評価は厳しく、同僚や部下からも嫌われている。それはなぜか?

鈴木:みなさん、このレベルの仕事では私の前職(〇〇商事)ではまったく通じません。これからは、みなさんの仕事ぶりを見ながら、ビシビシ鍛えていきます!
鈴木:これが会社のやり方ですか? 前職の〇〇商事ではありえないことです。これでは世界を相手に勝負することはできません!
鈴木:前職の〇〇商事のコンペでM銀行の頭取と親しくなって、ゴルフする仲なんだよ。マジであの人やばいわ! 君でも名前くらいは知ってるよね?
鈴木:この会社では議論かみ合わないしホンネをぶつけ合わない。海外じゃ笑われるね。
前職の〇〇商事では考えられなかったな!

一流企業出身の人に多い「前職アピール」は、確実に評価を下げていくので要注意。「自分のすごさ」を匂わせて自慢してくる人の「生態」は興味深いが、評価をあげる社員は、前職アピールはしないもの。思慮深く謙遜するのが、普通である。

謙遜できない社員のことを「ボンクラ」と言う。ボンクラは「盆が暗い」と書く。もともとは丁半賭博で使われた賭博用語で、盆の中のサイコロを見通す能力に暗いことを指すが、社内ではボンクラになってはいけない。

本書は、アラサー・アラフォー女性向けに書かれているものの、社内のルールやマネジメントを知りたい人に役立つ一冊といえよう。(尾藤克之)