ビジネスパーソンにとって30代、40代は、上司もいて、部下もいて、あるいは周囲の活躍も気になって...という悩み多き世代ではないでしょうか。

当コラム「その仕事の悩み、こんなふうに考えてみよう。」では、キャリアや生活にまつわる悩みに、組織や人材開発、コーチングに詳しい「ひろ子ママ」が、アドバイスやエールをお送りしていきます。

◆きょうのお悩み

きょうはWさんが、こんな悩みを抱えていらっしゃいました。

先日、政府から「骨太方針」と呼ばれる「経済財政運営と改革の基本方針2023」が発表されました。その中で、首相の「希望する個人が、自ら働き方を選択でき、昇給、転職を通じて、主体的な学びが報われる社会を作っていく」という発言がありました。結局は「自分の好きな働き方を選択するには自分で学んで稼ぐ力をつけましょう」ということだと思うんですよね。稼ぐ力かぁ......。
昔から言われ続けてきた「リスキリング」「学び直し」との違い

最近、目や耳にする「リスキリング」「学び直し」「個人主体のキャリア」という言葉は、実は昔から重要だと言われ続けてきた言葉です。

コロナ禍の影響で、私たちの働き方や考え方が変わり、日本もそろそろ本当に「個人の学び」が必要だと追い込まれてきた状態になっています。

本来は、企業が従業員に必要なスキルを身につけさせるために、研修などの機会を提供する際に「リスキリング」という言葉が使われていました。

ですが、どちらかというと今は、「個人の学び」にスポットがあたっているようです。Wさんがおっしゃるように、「個人で学びを深めて稼ぐ力をつけましょう」ということですね。

なぜ「個人の主体のキャリア」が注目されるようになったのか?

ここ最近、「個人主体のキャリア」が注目されるようになったのは、いくつかの理由があります。

・世界のビジネス環境に変化

予想ができない不確実なことが起こり、世界のビジネス環境が激しく変化しています。

企業の変化だけでは間に合わず、個人の変化として「個人主体のキャリア」が求められるようになったのです。

・個人が収入や昇進よりも「働きがい」を重視

ひと昔前は、働く目標を「収入や昇進」でひとまとめにできていた時代もありましたが、今はそうではありません。「働きがい」といっても一言でまとめられず、個人の価値観が多様化しているため、「何に働きがい」を感じるかもそれぞれ異なります。

そのため、より個人で自分のキャリアを定めていく必要が大きくなりました。まさに「自分の好きな働き方を選択するには、自分でスキルをつけましょうね」ってことですね。

・専門性が必要

今、政府が求めているスキルとしてはDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)といった専門性のあるスキルです。

必要とされる分野の専門性を持ったほうが、個人の収入アップにもつながります。DXもGXも欧米の方が先をいっているため、世界の動きを見てニーズを掴むことも大事です。

どうしたら個人でもチャンスを手にすることができるか?

でも、個人の学び直しとなると、「何を学んだらいいのか」「どのように学んだらいいのか」疑問もたくさんあると思います。

そこで、まず日々の生活、仕事に対してどのような課題があるのかを発見し、そこに問題を感じられるかが重要です。自分、組織の足りていないことに対し気づいて、それに対して何が必要なのかを考えることからスタートしてはいかがでしょうか。

このように考えると、「学ぶべきこと」が見えてきます。

ちなみに、人が気づけないことに気づいている人こそ、昇給していませんか......。

また、副業を通して越境学習的な効果を得ることも、個人のリスキリングにつながります。しかし、収入のために与えられた仕事をルーティンにこなすような仕事ではなく、専門分野を鍛えられるような分析的な業務や、広い裁量を与えられる業務などがよいでしょう。

つまり、学ぶという目的を持って、副業にあたることが大切です。本業では体験できないことを実践しながら鍛えることができたり、今の自分のスキルが他の会社でも通用するのかを確認したりすることもできます。足りないことを実感したら、その部分を強化することもできますよね。

そのほかに、国が強化したいスキルなどは給付金が受けられる講座を確認するといいでしょう。たとえば、デジタル技術に対するスキル強化には「第四次産業革命スキル習得講座」がおすすめです。

2025年にはデジタル関連講座の数を300まで増やす動きもあるので、それだけ国が力を入れている分野ということが分かります。

Wさん、昇給につながるチャンスを日々の生活から見つけてみましょう!(ひろ子ママ)