通常の高級フレンチレストランの原価率は、約20~25%が適正です。ところが、「俺のフレンチ」の原価率は約60%。つまり、同じ価格の食材を使えば、「俺のフレンチ」では3分の1のメニュー価格になるということです。その結果、これまではあり得なかったコストパフォーマンスを実現しています。
一人当たりの儲けの低さを「立ち飲みスタイル」で解決原価率が60%でも利益が出せる理由は、回転数と客数にあります。
一方、「俺のフレンチ」が客単価4000円、原価率60%と想定すると、一人当たりの儲けは1600円です。同じだけの儲けを得ようと考えれば、「俺のフレンチ」は実に3.75倍もの客数を獲得しなければなりません。しかし、飲食店の売上は席数に依存するため、来客数が増えても回転数が変わらなければ売上は上がりません。この問題点を、「俺のフレンチ」は「立ち飲みスタイル」で解決しました。
飲食店が多くの客数を獲得し、高い売上を継続するには、多くの見込み客に認知され、新規客を獲得し続ける必要があります。「俺のフレンチ」では、一度来店した顧客がそのコストパフォーマンスに驚き、口コミで新規客がどんどん増えています。一度来店した顧客が別の知人とリピートすることで、リピーターと新規客を同時に集客できていることも大きな強みと言えるでしょう。
また、席数が少ないため、毎日のように行列ができます。その盛況ぶりをメディアは放っておきません。
(井澤 岳志/経営コンサルタント)