「先日、加藤みどりさんをお見かけしたんです。お見舞いではなく、“入所”を検討されていらっしゃるということでした」と語るのは介護関係者。

加藤みどり(79)といえば、国民的アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)の主役を担い続ける大ベテラン声優だ。その加藤が、東京都心にある介護付き有料老人ホームで目撃されたのだという。

「入居費用は1人なら5千万円、2人なら6千万円からと、かなり高額ですが、周囲の環境も良く、医療体制も整っています」(前出・介護関係者)

’69年10月5日に放映がスタートした『サザエさん』。

「50周年イヤーということで、9月には藤原紀香主演で舞台が上演されましたし、11月24日には天海祐希主演でスペシャルドラマ(フジテレビ系)も放映予定です。ただそのいっぽう、この8月にはマスオさん役を務めていた増岡弘さん(83)が降板したことも話題になりました。波平役だった永井一郎さんも5年前に82歳で急逝しています。磯野家・フグ田家の家族で、スタート当初から声優が変わっていないのは、加藤みどりさんと、タラちゃん役の貴家堂子さん(78)だけとなってしまいました」(テレビ局関係者)

79歳とは思えない張りのある声を保ち続けている加藤。彼女を知る音楽関係者は言う。

「若いころから長唄や小唄、義太夫などで、腹式呼吸を心がけて、しっかりと声帯を鍛えていたそうです。またいまでも毎週『サザエさん』を自宅のテレビでチェックしていて、“一人反省会”をしているとか。声のトーンとか、若々しさなどに注意して、常に改善点を探しているのです。50年も続けてこられたのは、そうした“自分に厳しい”姿勢と、ずっと見守ってくださったご主人のおかげなのでしょうね。

ただ加藤さんはとてもお元気なのですが、ご主人は最近、体調を崩されているようです」

加藤みどりが夫・Mさん(83)と結婚したのは25歳、’65年11月だった。彼女は高校卒業の1年後にNHK俳優養成所に入所していた。Мさんとの出会いについて雑誌のインタビューでこう語っている。

《“マスオさん”そっくりの彼に出会ったのは昭和36年。場所はNHKの中でした。(中略)彼は、丸顔で、ポチャポチャとしてて、たよりなさそうで、ボーっとしてて……。その“マスオさん”に私は一目ぼれしてしまったんです》(『SAY』’88年5月号)

“リアル・マスオさん”のMさんは、東京大学文学部を卒業後、NHK国際局に勤務していたという、かなりのエリート。

「彼女がサザエさん役に選ばれたのは、結婚から4年後。第1回の放送後には、ある新聞が“加藤の声は、サザエさんのイメージに対する冒涜”と酷評したそうです」(前出・音楽関係者)

さすがの彼女も泣いてしまったというが、Mさんのお陰で深刻にならずにすんだようだ。

《(結婚していたので)別に仕事がなくても生活に困るわけではなかったんです。そういう意味でも本当に気楽に受けたのが“サザエさん”だったんです(笑)》(『日刊スポーツ』(’98年11月8日付)

MさんはNHKを退職後の’96年、妻のために個人事務所を設立し、その社長に就任した。

「’99年にカツオ役だった高橋和枝さん(享年70)が逝去しました。

加藤さんは先輩の高橋さんを慕っており、このときばかりは『サザエさん』を降板することを考えたそうです。そのとき悩む彼女を励ましてくれたのが、ご主人だったのです」(前出・音楽関係者)

加藤夫妻には子供がおらず、水入らずでの生活が続いていたが、今年4月に個人事務所を解散している。4歳年上のMさんの体調が悪化し、社長としての仕事を続けることができなくなってしまったというのだ。

加藤夫妻は東京都内にある築51年のアパートで生活している。9月下旬、本誌は2人で近所を散歩している加藤と夫・Mさんを目撃した。Mさんはゆっくりゆっくり歩いており、加藤が腕を支えていた。階段を上り下りする際には、加藤も心配そうな表情を見せる……。

その後、夫婦の現在の生活について話を聞くために加藤に取材を申し込んだのだが、「そういった話はお答えしておりませんので……。番組のことなどでしたらフジテレビに聞いてください」と語るだけだった。

「アパートはかなり老朽化しており、来年1月から3年かけて、建て替え工事をするのです。その前に、引越し先を探している住人も多いですね」(アパートに住んでいる女性)

夫の体調悪化と自宅アパートの建て替えが重なり、加藤も老人ホームを探していたようだ。半世紀もの間、24歳であり続けたサザエさん。

その底抜けに明るい声を担っている加藤は、“私のマスオさん”といっしょに終活に励んでいたのだった。

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