豪華なドレスに十二単、颯爽としたスーツ姿……。9月11日に、皇后となられてから500日を迎えた雅子さまのエレガントな装いの数々を、徹底解説します!

解説してくれたのはファッション評論家の石原裕子さん。

皇室をはじめ、セレブの装いにも幅広い知識を持つ。美智子さまや雅子さま、佳子さままで、お務めの内容や歴史背景なども考慮した装いの解説に定評がある。

■ローブ・デコルテ

令和元年5月1日】「即位後朝見の儀」

肌を出す装いのローブ・デコルテ。「ご成婚時にはノースリーブで胸元のカットも大きかったのですが、今回は袖を付け、ハート形のVネックは小さめにされたミセスらしい装い」(石原さん・以下同)

【令和元年10月22日】「饗宴の儀(第1日)」

ひし形の地紋がデコラティブな、ゴールドの柔らかな布で作られたローブ・デコルテ。「襟のフリルは胸元で5つのバラがつぼみから花になるデリケートなデザインで、2連のネックレスと調和して華やかな印象です」

【令和元年11月10日】「祝賀御列の儀」

縁取りの三つ編み、外側に飾られたゴールドの花びらが印象的なボレロ風ジャケット。「第1ティアラと調和する、たおやかで風格あるシルエットから高貴さを感じます」

■ローブ・モンタント

【令和元年5月27日】「トランプ米大統領を招いての宮中晩さん会」

米大統領夫妻を迎えるため、ニューヨーク州の花、バラの模様のシャンティレースのジャケットを。「体にまとうようなシルエットも華やかで、大人の女性の装いです」

【令和元年10月29日】「饗宴の儀(第3日)」

立食の会を想定した全身を見せる装い。水の流れを思わせるモアレの地に、滝を表現したカスケード襟を飾られて。

【令和元年11月18日】「大饗の儀(第2日)」

桜の花びらを織り出した光沢のあるレース地でシンプルなデザイン。「袖の付け根の膨らみと大粒のパールのネックレスに女性らしさを感じます」

【令和2年2月23日】「天皇誕生日を祝う茶会の儀」

上質なシルクで首から袖口まで肌を覆った典型的なローブ・モンタント。色、ラインも美しくウエストのボウでエレガントさと愛らしさを。

■十二単

【令和元年5月8日】「期日奉告の儀」

十二単に近い雰囲気の伝統的装束姿で令和初の宮中三殿ご参拝。

古典的な向鶴紋様の若草色の御小袿が若々しい。

【令和元年10月22日】「即位礼当日賢所大前の儀」

最高に清浄な白の十二単姿は薄紅色の御長袴。釵子、櫛は銀、檜扇も白木に白い紐をお使いに。

【令和元年10月22日】「即位礼正殿の儀」

白の御唐衣は非対称の向鶴紋様で現代的デザイン。「内側の御表着には、雅子さまのお印である紫のハマナスの柄が。さらに、少しずつずらして見せる緋色も美しい日本的な色重ねです」

■着物

【令和元年7月1日】「トルコ大統領ご接見」

淡い青磁色に白、紫、オレンジなどの小菊を描いている。柄の間隔をあけ、余白を生かして落ち着いた趣に。

【令和元年8月30日】「アフリカ各国首脳との茶会」

菊、紫陽花などが飾られた金箔の花籠紋様の和服に、銀糸も織り込んだ白い綴れの唐花柄の帯を合わせて。

【令和元年10月31日】「饗宴の儀(第4日)」

松並木の風景のようなしっかりした絵柄のクリーム色の和服。華やかなゴールドの帯に平打ちの帯締めを。

【令和元年12月20日】「ウズベキスタン大統領ご接見」

雲取りや青海波の中に松や菊が描かれたおめでたい紋様。上質なピンクゴールドの帯で高貴さをプラス。

【令和2年1月25日】「大相撲ご観覧」

令和初の天覧相撲へ。「愛子さまのワンピースの色目に合わされ、優しいクリーム色の地にオレンジ色や濃淡をつけた朱色の小花を散らしています。同系色の帯もグラフィック調の花菱紋様で、キリリと締まった感じを加えています」

■スーツスタイル

【令和元年6月2日】「全国植樹祭」

植物をイメージさせる、淡いアップルグリーンのテーラードジャケットのスーツ。「ミセスになられても、ラインを絞った腰半ばまでの短めのジャケットをキュッと着こなされて、颯爽とした感じがします」

【令和元年8月7日】「フローレンス・ナイチンゲール記章」授与式

目の覚めるような純白のシルクのスーツ。「胸元の詰まったウィングカラーはナース服を思わせ、清潔な感じがします」

【令和元年9月7日】「全国豊かな海づくり大会」レセプション

光沢のある上質なシルク地で襟からフロント、袖口にフリルをあしらった白のセットアップ。シャンパンゴールドの小物で気品を添えられて。

【令和元年9月28日】「国民体育大会」役員懇談会

クラシックなドレスコート。白と紺は雅子さまお気に入りの配色。「胸元や襟、ボタンなどの紺が引き締まった雰囲気を演出。ボタン中央にパールで花を作る心配りも」

【令和元年11月21日】「三重県行幸啓」

「ハリ、光沢の美しい上質な生地で帽子から靴まで全て統一された最高の品格を感じる装い。丸襟、アールのついた裾ラインが素敵です」

石原さんは、雅子さまのミセススタイルへの変化についてこう語る。

「雅子さまは皇后になられてから、今のお立場でしか着こなせない上質な装いのなかでも、色使いやデザイン、素材など、どこか国民に寄り添うような、優しいお気持ちが感じられるお召し物を選ばれているように感じます。

特に色使いは、お若いころからよくお召しになっていたビビッド系から、パステルカラーや白へと色のトーンを落とされた印象です。白い服はとてもお似合いで、上質な素材を全体に使い、ほかの色を入れるときには控えめな淡い色を選ばれています。まさに皇后陛下という高貴な装いになり素敵だと思います」

また、フリル使いやカスケードなど、襟周りからフロントに使われている女性的なデザインも増えている。

「それらもかわいいだけにならずエレガントに取り入れています。米大統領夫妻の歓迎晩さん会では、ニューヨーク州の花であるバラをあしらった豪華なレースのジャケットをお召しでした。ご公務では訪問先や、その催しにゆかりの色や柄を取り入れてお召しになります。皇后として大切なお務めとなるフローレンス・ナイチンゲール記章授与式では、ナイチンゲールの衣装のような刺しゅうを施したウィングカラーの白いスーツで、古いナース服をイメージさせる装いでした。美智子さまがされてきた細やかなお心遣いも、しっかりと継承されているのです」

「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載

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