人気ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)で8月13日、奈良県にある超高級ホテル『登大路ホテル奈良』の“スタッフ教育”の様子が放映された。
極上のおもてなしが評価され、ミシュランガイドに6年連続で掲載されたこともあるという同ホテル。
エレベーターにはお客のほかに先輩スタッフも乗車していたが、それでもまだ乗員に余裕があるようにも見えた。そのため、ネットではこんな非難が相次ぐことに。
《何故わざわざ階段で運ばせる必要があるのか》
《新人だから階段で運ばせて先輩だからエレベーターって》
《スタッフを下げることがお客様を持ち上げるってことじゃない》
また番組では、ホテルのマネージャーが「おかしかったら『おかしい』と言います。できていたら黙っています。褒めませんので」と同スタッフに告げるシーンも。そのため《スタッフに対してブラックすぎ》《平気でパワハラするブラック企業》との声も上がっている。
その“裏側”が、思わぬ形で話題を呼ぶこととなった『登大路ホテル奈良』。そこで本誌は“階段で荷物運び”の真意をホテルに尋ねた。
ーーなぜスタッフの方はエレベーターに乗らず、荷物を階段で運ぶことになったのでしょうか
「スタッフは通常、エレベーターにお客様と同乗の上、荷物を持って部屋までご案内致しております。 このシーンが撮影されたのは今年4月初旬です。弊ホテルは14室のホテルであり、エレベーターも小型の1基のみとなりますため、コロナ禍対応の一つとして『エレベーターでは密を避ける事』と社内通達し、お荷物の重さや状態、またお客様のその時の状況等に応じて、スタッフが臨機応変に判断対応していました」
■「当ホテルは、ブラック企業ではないと考えております」
つまり、“階段で荷物運び”は「スタッフが判断したこと」だという。
ーー階段で荷物を運ぶのは風習としてあるのでしょうか
「今回出向されたANAのスタッフの方はグランドスタッフとして勤務されており、空港でチェックインの際にお客様の重いスーツケースを動かす業務も行われておりました。これまでのご経験からも違和感なく小型のスーツケースを2階に運ばれたものと存じます。
なお、通常はエレベーターにお客様と同乗し一緒にお荷物を運ぶ、またはチェックイン前後にスタッフにてお客様のお部屋に運んでおりますが、コロナの観点から手荷物は階段を使うケースもございます」
ーーまた上司の方がスタッフの方に対して「褒めない」と明言するシーンがありました。荷物運びの件もあり、「ブラック企業みたい」との声も上がっています。
「今回対応したマネージャーは、弊ホテルに長年勤務している信頼のおける社員です。ANAからスタッフの方のトレーニングの責任者として任命しました。
撮影当日、マネージャーからは、『今までと異なった環境で業務を行う事は大変ですが、1年のみとして当たり障りのない指導をするつもりは無く、他の正社員と同じようにしっかり教えるし、終了期間迄面倒見るので、頑張ってください。折角の機会なのでホテルと言う所を知って頂いて好きになって欲しい』と伝えてトレーニングを開始しております。
放送された映像では、その中の一部のやり取りが放映されましたが、放映全体を見ていただければ、ANAのスタッフの方がやりがいをもって仕事にあたっている様子がご覧いただけると存じます。またこれまでANAでのご経験、接遇は、弊ホテルのスタッフにもよい刺激になっております」
ーー「ブラック企業」と揶揄されていることについてどう思われますか
「当ホテルは、ブラック企業ではないと考えております」
ーー今回の影響で、対策を考えることはありますか
「インターネットやお電話などで視聴された方々からいろいろな声を頂いており真摯に受け止めております。また日頃ご宿泊頂いているお客様にもご心配や励ましのお言葉を頂いております。