「(持続化給付金は)新型コロナの影響で苦しむ事業者の事業継続を支えるため、簡易な手続きで迅速に給付できるよう制度設計している」

新型コロナウイルス対策の持続化給付金を巡る詐欺容疑で東京国税局の職員が逮捕――。そんな衝撃的なニュースが報じられた6月2日、松野博一官房長官(59)は冒頭のように語った。

さらに松野官房長官は「この制度を悪用した不正受給の疑いがあり、高い倫理意識を求められる公務員がこのような事態を招いたことは誠に遺憾であります」とコメント。不正受給の疑いのある事案には調査を実施し、厳正に対処していくと強調した。

また8日には、家族で10億円近くの持続化給付金の不正受給に関与していたという谷口光弘容疑者(47)がインドネシアで逮捕された。1年半もの間、国外逃亡していた谷口容疑者は現地の会見で黙秘を貫いていた。

コロナ禍となり、3年目。そんななか、相次いで発覚した不正受給。

だが小規模飲食店の間では摘発されていないだけで、「不正な受給」や「グレーな受給」が蔓延しているという。

地方都市で複数の飲食店を経営するオーナー・A氏は「たしかに証拠が揃えばアウトかもしれませんが、まぁ仮に指摘されたとしてもあれこれ理由をつけて反論できますからね。だからグレー。別に怖くも何ともないですよ」として、その実態を明かした。

「たとえば営業時間を21時までに短縮すれば持続化給付金をもらえました。ただ、うちはコロナ前から17時までの営業なので、そのままだと時短になりません。

そこで『営業時間は23時までだった』ということにして、“時短要請に応じる形”にしたんです。ほかにも店舗が複数あって、給付総額は1000万円以上。でもこうしたグレー受給は、飲食店界隈ではよくあることですよ。審査がザルですからね」

さらにA氏は「うちなんか、まだマシなほうなんですよ」として、こう続ける。

「同業者の1人は新たに格安で場所を借りて、看板を出して、店をしているふうに“装って”いました。本当は営業していないにも関わらず、給付金をもらうんです。

特にもともと店舗だった“居抜き物件”は、いろいろと手間も省けて便利とのこと。さすがに私でも『アウトだろ』と思いますが、それでも特に見つかったりはしていません。

あとは飲食業と建築業を営んでいる人がいるのですが、自分で飲食店のリフォームをしていたんです。“衛生管理の改善を図るための設備導入”といった名目で、補助金が貰えるんですよ。『関連会社で回しただけなのに、補助金がもらえてラッキー』と言っていました。実態としてリフォームしているからいいのかもしれませんが、なんだかモヤモヤしましたね」

A氏は「とはいえ、まぁ、みんなやってますから。

うちだけがグレーとかブラックとか、そういう話じゃないですよ」と悪びれる様子もない。

「10億円みたいな金額だと国側も本腰を入れて調査するでしょうが、街の飲食店みたいな零細経営の細かな金額まで調べていたらキリがないでしょうからね。実際にコロナ禍で先行きが不透明になっていることは事実ですし、ちょっとくらい多めにみてもらってもバチは当たらないのではないでしょうか」

当然だが、実態のない不正な受給は処罰の対象となる。“高い倫理観”を求めたいところだ。