コロナの感染者が急増する中、自宅療養者の人数が過去最多に。つらい症状を乗り越えるために、何を用意しておけばよいのだろうか? 自宅療養経験者の声を集めた。

7月29日、新型コロナウイルスによる自宅療養者数が過去最多を記録した。厚生労働省の発表によると27日時点で、約110万6千人(社会福祉施設等療養者7451人を含む)が自宅療養を強いられているという。

感染者の急増により、自治体の体制にも影響が出ている。自宅療養者が約16万人と全国でもっとも多い東京都は、自宅療養者向け「食料品配送」の対象者を「同居人や知人から買い物の支援を受けられない人」「インターネット通販などで食料品の調達が困難な人」に限定。支援対象を縮小した。

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの倉原優先生が語る。

「流行しているBA.5は感染力が強く、ワクチンを複数回接種しても感染してしまう可能性が高い。第6波を超える勢いで医療がひっ迫しており、感染予防しながらも、いつ自宅療養になってもいいように、備えておくことが大切です」

■のどの痛み・鼻水対策に飴と保湿ティッシュを

では、どのようなものを用意しておくのがよいのだろうか? 実際に自宅療養を経験した人の体験から、役に立ったモノとあまり役に立たなかったモノのリストを作成したので参考にしてほしい。なお、トイレットペーパーや生理用品などの日用品は含んでいない。

7月上旬に家族が全員感染した40代のAさんは、解熱鎮痛薬を備えておけばよかったと後悔する。

「発熱外来を予約しても、感染者数が増えているため受診はその翌日になってしまい、発症当日は薬を飲めずつらかった……」

現在流行しているBA.5では、これまでと比べて熱が0.5~1度ほど高くなり、高熱になるケースが多いと倉原先生。市販の解熱鎮痛薬を選ぶのにもポイントがある。

「市販の解熱鎮痛薬では発熱や頭痛などの症状を和らげる“アセトアミノフェン”が効果的。ただ、現在供給が逼迫しています。また、市販のアセトアミノフェンは用量が抑えられており、十分な効果を得るには力不足かもしれません。症状が強い場合には、より効果の強いロキソプロフェンやイブプロフェンなどの“NSAIDs”(エヌセイズ)も選択肢になります」(倉原先生)

自宅療養中は、脱水と低栄養にならないことが肝心だ。

「スポーツドリンクは、発熱時の水分補給に必須。すぐになくなりネットで追加購入したほどです。ゼリーやヨーグルト、アイスはのどが痛かったり、熱っぽくて食欲がないときでも食べられました」(7月中旬に夫婦で感染した30代のBさん)

そのほかにもレトルトのお粥、卵豆腐など、手軽でのどごしのよい食品が好評だ。

また、のどの痛みや咳、鼻水にも備えたい。

「のどが痛くて、のど飴はずっと枕元に。水溶性アズレンが配合されたのどスプレーも2日間は手放せませんでした」(Bさん)

Bさんはのど飴一袋をすぐに食べきってしまったとも語っている。少し多めに用意しておいたほうがよさそうだ。

ツイッター(@Hosi0w0)で自宅療養時に「ありがたかったモノ」をまとめている看護師のほし@LOLさんは、鼻水がひどく、高保湿ティッシュやワセリンなど鼻の粘膜を保護するものがあると便利だったという。

さらに、闘病時を振り返りこう語る。

「硬い枕だと頭痛がひどくなるので、固まらないタイプの保冷枕があればよかったです。汗をかくので汗拭きシートも欲しかった」

■療養中のネットスーパー・通信販売は便利な一方で大変さも……

準備したのに、あまり使わなかったアイテムも少なくない。

「家族全員が感染すると除菌グッズは不要になりました」(Aさん)

さらに、自宅療養中にはこんな悩みも。

「回復してくると、自治体から届く食料品や備蓄品には飽きてきます。とにかく新鮮な野菜や肉が食べたくなり、ネットスーパーで買い物をしました」(Bさん)

出歩けない中、必要なものを調達するために通販やデリバリーサービスなどのアカウントは必須のようだ。ただ一方で、Bさんは「商品が届くたびに、ベッドから起き上がって、宅配便の対応をするのがとてもつらかった」とも語る。必要なものは、症状が出る前に備えておくほうがよさそうだ。

最後に、倉原先生が、自宅療養の際の注意点を語る。

「パルスオキシメーターで測る酸素飽和度が低下(90%以下)したり、咳の悪化、呼吸困難、胸痛や意識障害があればすぐに救急車を呼んでください」

体験者の声に耳を傾け、医療ひっ迫を乗り切ろう。

【図解】自宅療養で役立ったもの・役立たなかったもの30

110万人突破!コロナ自宅療養で“あってよかったもの”「のど...の画像はこちら >>

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