今年最大の値上げ月となった10月。原材料の高騰などにより6500品目を超える食品が値上げされた。
「どんどん頼ってほしいのが、スーパーのオリジナルであるプライベートブランド(以下、PB)。各社力を入れているので、この物価高でもお買い得品が多いんです」
そう教えてくれるのは、食文化研究家でスーパーマーケット専門家のスギアカツキさん。
「流通コストがかからないPBは、ナショナルブランド(NB)より安いのが魅力。販売データや消費者アンケートをもとに商品開発されているため、下ごしらえ済みの冷凍野菜や健康志向食品など、消費者のニーズに合わせた商品が充実しています。柔軟性があり、NB商品にはないような珍しい商品も豊富。ある大型店舗では分析カメラを導入し、消費者行動にもとづき、品ぞろえを充実させています」(スギさん・以下同)
食品のなかには、“おいしすぎる”と話題になるほどの商品も。
「名店とのコラボ商品は、驚くほどクオリティが高い。大手メーカーとの共同開発も信頼があります」
アレルギー対応や糖質カットのPB食品も、大ヒットしている。
「『ライフ』では、専門店の半額程度で購入できる、ヴィーガンスプレッドがすごく売れています。全粒粉のパンやうどん、そうめん、雑穀入りレトルトご飯も人気です」
■PB食品がいい7つの理由
【1】続々値上げの「調味料」「加工品」が圧倒的に安い!
卸売業者を通さないPBは、醬油や食パンなど定番品もお買い得。ほかにも大量生産やパッケージを簡単にするなど努力で価格を抑え、安さを実現。
【2】「鍋の素」「カレー」など、ほかにはない「レトルト」が!
他店にはない、独自の発想やこだわりの味のレトルトが充実。ご当地鍋つゆからイタリア・ナポリのパスタ料理まで、驚く種類の豊富さ。
【3】“あったらいいな”の主婦の気持ちが商品に!
スーパーの顧客データや主婦へのアンケート調査から、徹底した消費者目線で作られる。小分け包装や加工済みの魚など使いやすい商品が人気。
【4】有名料理店などとの「絶品コラボ」商品がある!
名店やキャラクターの“看板”を背負ったコラボ商品は、妥協のない商品作りでおいしさに外れなし。食のプロもうなる逸品ぞろい。
【5】「冷凍おかず」はすぐおいしい&ボリューム満点!
バリエーションが豊富な冷凍食品は、スーパーがいま最も力を入れているジャンル。使いやすくておいしくて、外食以上の満足感も!
【6】“面倒なとこやっときました”な「下ごしらえ商品」が充実!
新トレンドとして増えているのが、主婦にうれしい手間と時間を省いてくれるPB。裏ごし済みや骨を取ってカットされた魚まで!
【7】健康志向のニーズに応えた商品が続々!
ヴィーガンスプレッドまでPBで手に入る時代。健康志向やアレルギー対応食材のニーズが増えた昨今、しっかり商品化して対応。
■地方スーパーのPBはお土産としても優秀
最近では、量販店や高級スーパーのPBも見逃せないという。
「面白い商品をそろえているのが『ドン・キホーテ』の“情熱価格”。
いまスギさんが注目しているのが、全国のご当地スーパーだ。
「地方のスーパーがPBを持つようになってきました。比較的小ロットでもメーカーが対応できるようになったため、地域の色を持つ商品がどんどん発売されています」
たとえば、長野県・群馬県のツルヤ、山梨県・長野県のいちやまマート、山形県・宮城県のヤマザワ、兵庫県のヤマダストアー、沖縄県のジミーなど、地域に根ざしたスーパーで開発されたPBには、知られざる逸品が豊富。
「地元ならではのPBは、“地元愛”にあふれ、その土地で親しまれている味を楽しめます。地元の人が愛用する、安くて確実においしいPBは、お土産にもぴったり。ジャムやお菓子、麺類、ソーセージなど加工品のコーナーをのぞいてみて」
もはや価格だけじゃないPB。使い分けて、楽しみながら節約につなげることができるという。
「たとえば、パスタは価格重視PB、ソースはプレミアムPBと組み合わせる。
【PROFILE】
スギアカツキ
スーパーマーケット専門家、食文化研究家。スーパーや食のトレンド情報をSNSやメディアで発信している