《怖くて泣いちゃう子ども続出しそう》
《大人だけならまだしも、子供に睡眠時間4時間は酷でしかない》

6月13日、近畿鉄道が奈良県の吉野線・大和上市駅において子供向けの職業体験イベントを実施すると発表した。しかし、プラン内容が「負担が大きいのではないか」と、一部SNS上で指摘が上がっている。

イベントは「きんてつ駅のお仕事体験2日間 ㏌ 大和上市駅 ~大和上市駅長になっていろんな駅業務に就く体験型ツアー~」と題して、小学4年生~6年生が対象となっている。日程は第1回目が7月29日~7月30日、第2回目が8月19日~8月20日と、どちらも1泊2日で駅の合宿所に宿泊するというもの。

1日1組限定(保護者含めて4名まで)の特別感ある企画だが、参加費は大人1人あたり10,000円で子供は1人あたり30,000円。初日スケジュールは午後3時30分に下市口駅で集合し、以降は改札業務や列車監視などの実務体験をして就寝は深夜24時ごろ。翌日は午前4時30分ごろに起床し、午後12時ごろ終了予定だという。

さらに注意書きには、《仮眠時間は約4時間ほどです》《入浴はできません》《夕食、朝食は含んでおりません。

各自でご準備ください》《寝具はご用意いたします》と記されている。

貴重な体験ができるイベントだが、このようなスケジュールは幼い子供たちにとって辛いのではないかと冒頭のような声が上がっていたのだ。

■「お子様のペースでやりたいことだけをやってもらったら良い」

本誌が15日午前に近畿日本鉄道株式会社に取材を申し込むと、同イベントの担当者から話を聞くことができた。

まず、「子供たちにとって辛いプランではないか」という声は届いていると明かした上で、“基本的には自由参加”だと説明した(以下、カッコ内は担当者)。

「本物の駅員の仕事内容を体験してもらうというプランなので、子供にとって厳しいとは思います。ただ、これを強制している訳ではないのです。

旅行商品のツアーとしてお客様に喜んでもらおうと企画しているものなので、例えば、参加されるお子様が『眠たい』となれば合宿所で寝ていただいて全然構いません。

また、必ずしも朝4時に起きなければいけないというわけでもなく、お子様が10時くらいまで寝ていたとしても問題ございません。タイムスケジュールや業務などの計画はありますけど、お子様のペースでやりたいことだけをやってもらったら良いという感じです」

また、入浴や食事の提供がないにもかかわらず、参加費が「高いのでは?」との指摘にはこう事情を明かした。

「参加費については、ほぼほぼ人件費になります。当日、駅の係員を1名、旅行の添乗員も2名配置しているので、3名が付きっ切りで対応することになっております。また、しばらく合宿所を使用していないため荒れ放題となっており、清掃や畳交換、お客様の寝具の用意などをすることになりました。

その辺りの諸費用がかかってくるので、この参加費で価格設定をさせていただいた次第です。儲けは考えておりませんので、利益はゼロと考えていただいて構いません」

では、なぜこのタイミングで長年使用していなかった合宿所を活用して、イベントを実施するに至ったのだろうか? 担当者はその経緯を、こう話してくれた。

「きっかけは昨年、日本経済新聞に掲載された記事で“子供のころ、駅員さんが働いている姿を見て僕も駅員さんになりたいと思った”と、筆者が駅員の業務に興味を抱いた気持ちを綴ったコラムを読んだことです。それで私たちも、『もしかしたらお子様が近鉄の駅員の仕事を見て、近鉄に愛着を持っていただけるかもしれない』と思い、このツアーを考えさせていただきました。

駅員に憧れているお子様がいることに共感を覚えまして、ぜひ一度体験していただけたらと思ったのです。合宿所に泊まる機会もないと思いますので、お子様にとっては楽しんでもらえるのではないかなと考えております」

担当者は最後に、「お子様たちのペースで楽しんでもらいたいと思っています」と改めて語っていた。

波紋を呼んだ職業体験イベントだが、実際には“ホワイト”のようだ。