トマト1個が321円(税込み、以下同)、小ねぎ1束が278円、長ねぎ1本が170円(イトーヨーカドーネットスーパー)。野菜が高すぎる。
原因は、今夏の猛暑で生育状況が悪かったことに加え、燃料や肥料などの高騰によるコストの上昇。また、アボカドやパプリカなどの輸入野菜は、円安の影響を受けての高騰だ。
高騰したとはいえ、セールや見切り品など安く売っていることもあるが、買いだめをしても食べ切れず、腐らせてしまうことも……。
「野菜の保存には、冷凍がおすすめです。冷凍なら鮮度や栄養価を長くキープできますから、おいしく食べ切ることができます」
そう話すのは料理研究家で食品ロス削減アドバイザーでもある島本美由紀さんだ。
「食品ロスは平均的な4人家族で年6万円にのぼり、無駄にする食品の1位は野菜です。野菜を上手に冷凍保存すれば、使いたいときに使いたい分だけ使えて節約につながります。また、凍ったまま使える野菜も多く、下ごしらえの時間が短縮できて楽ですよ。野菜が高い今、冷凍術を駆使して、お金にも時間にも余裕が生まれる“冷凍貯金”を始めましょう」(島本さん、以下同)
野菜を上手に冷凍するコツは?
「買ってきてすぐ、新鮮なうちに冷凍することです。冷蔵して鮮度が落ちる前に早く冷凍しましょう」
冷凍は丸ごと? それとも、切ってから?
「トマトはヘタを取らずに丸ごと冷凍もOKです。丸ごとだと切り口がないので水分などが失われにくく、3カ月間保存できます。
買ってきた袋のままでもいい?
「冷凍用の保存袋を使ってください。冷凍やけなどが防げます。冷凍用保存袋に入れたら、できるだけ薄く平らに広げるのがポイントです。早く凍って鮮度が保てます。また、しっかり空気を抜くことで、霜が付きにくくなります」
保存期間が長くなると、霜が付きやすくなる気がするが……。
「少し使っては冷凍室に戻す、を繰り返すと、暖かい空気に触れる機会が多くなり、霜が付きやすくなります。冷凍用保存袋は1~2回で使い切れる量が入る小さめサイズを使うのも一案です。また、冷凍室を開ける時間が長いことも霜が付く原因です。
今は野菜が高い厳しい時期だが、冷凍術を身につけるよいタイミングともいえる。これからは冷凍術を賢く活用して、財布にやさしいラク家事を始めよう。
■野菜の冷凍術10
【1】ニンジン
値段は6月から1.5倍に。細切りやいちょう切りなどさまざまな形に切って、冷凍保存袋に入れ平たく薄く広げて冷凍。凍ったまま炒め物や煮物、汁物に。(保存1カ月)
【2】ネギ
長ネギは斜め切りや小口切りに、万能ねぎは小口切りにして、小分けしてラップで平たく包んでから、冷凍保存袋に入れて冷凍。凍ったまま使う。(保存1カ月)
【3】大根
いちょう切りや厚切り、千切りなどに切って、冷凍保存袋に入れて冷凍。冷凍のまま調理すれば、火の通りも味のしみこみも早く時短に。(保存1カ月)
【4】白菜
平年比120%の高騰中。ざく切りや細切りなどに切って、冷凍保存袋に入れて冷凍。
【5】小松菜
葉物は使いやすい大きさに切って、冷凍保存袋に入れて冷凍。凍ったまま炒め物や汁物に、自然解凍して水けを絞ってお浸しなどに。ただし、ほうれん草はアクがあるので、ゆでるか水にさらしてから使う。(保存1カ月)
【6】トマト
ヘタ付きのまま洗って、鮮度保持のため1つずつラップに包んで冷凍。冷凍トマトは水にさらすと皮がつるっと剥け、室温で5分おくと包丁で切れる。(保存丸ごと:3カ月、ざく切り:1カ月)
【7】パプリカ
細切りや乱切りにして冷凍用保存袋に薄くのばして冷凍しよう。凍ったままマリネなどに使える。(保存1カ月)
【8】サツマイモ
旬のサツマイモをまとめ買いしたら、使いやすく切って軽く水にさらし、水気をふき取ってから凍用保存袋に入れて冷凍。凍ったまま煮物や天ぷら、炊き込みご飯に(保存1カ月)
【9】ごぼう
皮を包丁の背で軽くこそげ落としてから、保存袋のサイズに合わせて切って、冷凍用保存袋に入れて冷凍。使う分だけ取り出し室温で10分ほどおくと、包丁で切れる。(保存1カ月)
【10】キノコ類
冷凍するとうまみがアップするので、いつも冷凍保存が◎。