米大リーグで今季最も活躍した選手に贈られるMVPが、11月16日(日本時間17日)に発表。途中離脱しながらア・リーグ本塁打王を獲得したエンゼルス大谷翔平(29)が2年ぶり2度目の受賞となった。
■キャップに「J」…WBCの活躍と「完全一致」
1987年に発売されたファミコン野球ゲームのパッケージをご覧あれ。TV中継さながらの画期的なプレー画面や、リアルな演出で大ヒットした「燃えプロ」こと「燃えろ!!プロ野球」だ。描かれた投手にピンとこないだろうか。躍動感あふれる投球フォーム、端正な顔立ち、そしてキャップの「J」――。
《めちゃくちゃ似てません?(中略)見つけた時ビックリ&鳥肌》
ネット上でそう取りざたされているのは、大谷翔平だ。「燃えプロ」発売は大谷出生の7年前。昭和の産物に違いないが、これまでにも《完全に一致》《大谷の登場を予言していた》と言われてきたのだ。
「J」は販売元だった「JALECO(ジャレコ)」の頭文字を表しているようだ。
■元同僚が証言した「バントから逆算」打法
都市伝説化する「燃えプロ」の大谷予言説。日本ハム時代の同僚で現在はソフトバンクに所属する近藤健介(30)の証言によって、それは真実味を帯び始めた。今年10月に放送されたテレビ朝日系の特集番組で明かされたもの。メジャー移籍後に「ノーステップ打法」に切り替えた経緯を近藤が問いただすと、大谷はこう答えたという。「イメージはバントに近い形。バントから逆算している」
「もはや、バントホームランじゃん!」
視聴者はざわめき立った。バントホームランとは、ファミコン世代に言わずと知れた「燃えプロ」の伝説的バグ。寝かせたバットにボールを当てるだけでジャストミート。打球はアーチを描いてスタンドインしてしまうのだ。
ゲームバランス度外視のバントホームランはそもそも、いかにして誕生したのか。ヤクルトファンの開発責任者が、同じく今年10月に放送されたテレビ朝日の「激レアさんを連れてきた。」に出演して告白していた。ヤクルトで当時活躍していたボブ・ホーナーの怪力に圧倒され、能力値を極端に高めた末のヒューマンエラーだったのだ。
翻って大谷。近藤が続けた証言から、「燃えプロ」の大谷予言説をいよいよ信じたくなってくる。大谷はこうも語ったという。「振るよりバントのほうが当たるでしょ。究極はバントでホームラン」。
■「テレビ壊してやろうかと思いました」
この「近藤証言」がオンエアされる7カ月前、大谷と「燃えプロ」の相関はすでにささやかれ始めていた。侍ジャパンがWBC強化試合として阪神と対戦した今年3月6日のこと。
スポーツ報知によると、打たれた阪神・才木浩人はこの「片手片膝弾」のハイライトが繰り返し放送されて次のように苦笑したという。「テレビ壊してやろうかと思いました」。まさに、バントホームランというバグを食らったプレーヤーの心境だ。
チート級の衝撃で沸かす大谷。満票MVPこそ、ふさわしい。
(文:笹川賢一)