4月12日、とある不動産仲介店がXに投稿した“のぼり”の写真が物議をかもしている。

投稿したのは、石川県内に5店舗を構える不動産会社「のうか不動産」。

《石川県内、本日かなりあたたかくなりましたね もりの里店では、のぼりを衣替え》という文章とともに、金沢大学近くの店舗前に掲出されたのぼりの写真をアップ。

問題となっているのは、そののぼりに書かれているキャッチコピー。メイン客層である大学生に向けて作られたものと思われるが、「部屋がダサくて恋もできない」「部屋が寒くて彼女の心も冷めた」と部屋探しと恋愛を関連させたものに加え、「部屋が古くて初体験が遅れてる」と性体験を連想させるようなものもあった。

さらに他のユーザーによって、過去に同社が掲示していた「美大生は歓迎!美人女子大生も大歓迎!!(笑)」と書かれた看板の写真も投稿される事態に。

すると、同社の看板やのぼりにある一連のキャッチコピーに「時代錯誤だ」と批判が殺到。《誰か止めなかったのか…》《コピーが気持ち悪い。

正気を疑う》《女子の親はイヤな気持ちになるね… 絶対新歓とかサークルとか注意して!って言いたくなるよー》などのコメントが寄せられていた。

これらの批判を受け、15日夕方に同社はXを更新し、《お騒がせしておりました店頭ののぼりは撤収いたしました。ご気分を害されたみなさまには心よりお詫び申し上げます》と綴り、キャッチコピーが書かれていないのぼりを掲出している写真が投稿された。

こうしたキャッチコピーはどのような意図で制作され、一連の批判をどう受け止めているのか。そこで「のうか不動産」の広報担当者に話を聞いた。

問題視されたキャッチコピーが書かれた看板やのぼりは、同社が09年、ロゴを一新したときに作成したものだという。

「ロゴが全然以前と違ったものだったため、少しでも多くの人に早く知っていただきたい、変わったことを知っていただきたい」(以下、カッコ内はすべて担当者の発言)という狙いのもと、同社が管理する建物など50箇所ほどに掲出。

看板のキャッチコピーは「いずれもその場所でしか成立しないもの」というコンセプトで作成したようだ。

「例えば、Y字の真ん中の物件に『人生の別れ目にのうかです』みたいなことですとか、あとは当社に最寄りの交差点に『右へならえの人生が嫌な人は左折してください』などの、その場所でしか成立しないものをたくさん作りました」

女性蔑視とも指摘があった“美大生は歓迎!美人女子大生も大歓迎!!(笑)”の看板も「そういったことを意識せずに作ってしまった」といい、金沢美大のそばにあったからという単純な理由で作ったという。

当時の心境について、担当者はこう述懐する。

「今の時代性を考えますと、ちょっと本当に時代錯誤なんですけども。その当時は、とにかく面白いことをやろうっていうことで、お部屋に絡めたキャッチコピーを作ってやっておりました」

しかしそれらの看板は、敷地面積に対して広告のサイズが大きすぎたという理由で金沢市の景観条例に抵触し、数年前に撤去。

現在は残っていないそうだが、“のぼり”のほうは繁忙期の数ヶ月間だけ掲出するという慣例があり、今年も掲出するに至ったそうだ。

しかし今回指摘されたことを受け、同社は15日の昼間にのぼりをロゴのみのものに差し替え。キャッチコピーがあるのぼりは、すでに廃棄処分を行ったという。

指摘については真摯に受け止めているようで、「薄々というか、もう時代に合わないのではないかと思いつつ、 その流れ作業のような形で今年もちょっと掲出してしまった部分もあった」「時代性みたいなこととかコンプライアンス的なことの意識が欠如していたっていうのは、もう逃れられないと思います」と担当者もかなり反省した様子。

そして、最後に、今回の件についてこう謝罪した。

LGBTフレンドリー宣言といって、多様性を認め合おうというような宣言もしているのに、それと逆行したようなメッセージをしてしまっていたのかなということも、今回の件を機に気付かせていただきました。

今後は、今申し上げたようなことのないような広告表現とかPR手法っていうのを取っていかないといけないと猛省しております」