4月6日からNHK総合でスタートした『新プロジェクトX~挑戦者たち~』。

2000年から5年に渡って放送された国民的人気番組『プロジェクトX』が令和の時代に、18年ぶりに復活した。

「3月に急きょ終了した土曜夜の『ブラタモリ』に代わり、満を持してNHKが誇る名番組が復活することになりました。旧シリーズでは昭和の戦後復興と高度成長がメインテーマでしたが、新シリーズではバブル崩壊以降の平成から令和にかけての“失われた30年”がテーマとなっています」(スポーツ紙記者)

NHKも中島みゆきでおなじみの主題歌『地上の星』も新収録する気合の入れようで、「今回の復活は、NHK上層部の肝いりで復活した企画だと聞いています」(前出・同)という。

実際に4月17日に行われたNHKの定例会見では稲葉延雄会長自ら「復活して大変喜んでおります。番組を見ても、さまざまな人間ドラマがあった事を知りまして、心打たれました」と“自画自賛”していた。

しかし、実際に『新プロジェクトX』の現場からは、今後を懸念する声が多数挙がっていると、あるNHK制作関係者は言う。

「それは昨今のテレビ業界で叫ばれるコンプライアンスの問題です。

大ヒットしたドラマ『不適切にもほどがある!』でも描かれていたことと同じですね。

もともと旧『プロジェクトX』が成功したのは、昭和の時代にあった大工事などの巨大なプロジェクトに立ち向かっていく主人公たちの姿。“働き方改革”が叫ばれる現代社会ではありえないような過酷な試練やエピソードを、ドラマチックに演出したから人気になりました。

例えば、旧シリーズではあるメーカーの極秘プロジェクトが紹介された際、“窓際社員が業務時間の合間を縫ってこっそり試作していた”というエピソードがありましたが、現在の基準では“労務管理がどうなっていた”とか“予算はどこから出ていた”といった指摘が噴出することでしょう」

新シリーズでも、基本的な番組フォーマットは前作と変わらないという。

「スタート前に放送された特別編では、旧シリーズの神回と呼ばれた『黒四ダム』が放送されましたが、あまりの過酷なエピソードに現在の基準では放送が難しいと実感させられました。ただしそういったエピソードが人気を獲得していたのは事実。

なので、今シリーズにおける平成期のプロジェクトでも“昭和の仕事ぶり”は多いはずで、それもある程度は避けられません。

ただし、NHK側がクリアしても今後は取材される企業や組織サイドが、批判を懸念してNGを出すことも考えられます。そうすると企業の意向を踏んだ演出が多くなる可能性があり、番組自体のパワーが落ちるかもしれません」(前出・NHK関係者)

特別編に出演した宇宙飛行士の野口聡一さんは「令和の時代だから女性が活躍するとか、働き方改革にフォーカスしてほしい」と話していた。果たして、新たな挑戦で令和でも“国民的番組”になれるのか――。