「自分が俳優業を始めたのは、1988年。ちょうど子供ばんどの活動を一時終了する最後のライブの日に、五社英雄監督に呼び出されたんです。

オレもすごく失礼なヤツで、サングラスをかけたまま『邦画は見ないです』なんて言って。それなのに『くるっと一周回ってみて』『メガネを外してくれるかな』と監督の言われるままやると『大きな声さえ出れば、兵隊役は誰でもできる』って、映画『226』の出演が決まりました」

こう振り返るのは、うじきつよしさん(67)。この大抜擢をきっかけに、ドラマや『カルトQ』(フジテレビ系)などバラエティ番組の仕事が急増した。

「『もしも願いが叶うなら』もその流れから来た仕事。ダウンタウン浜田雅功さんの敵役とはいえ、自分は好青年キャラだったから、『anan』や『non-no』みたいな、受けたこともない雑誌のインタビューも舞い込みました」

浜田とFLYING KIDSの浜崎貴司、岡田浩暉は3兄弟の役だった。

「浜田さんがリーダーとなって、3兄弟の結束が強くて。ミポリン(中山美穂さん)含めた4人は、いつも一緒にいました。オレが入ろうものなら『うじきはあっち側やからな』なんて言われて(笑)」

だからこそ、中山さんとのキスシーンでは独特の緊張感があったという。

「キスシーンといっても、そんなに濃厚なものではないのだけど、当時、自分は30代だったのにすごくドキドキしてしまって。ミポリンを目の前にすると腰が引けちゃうくらい。何しろ、3兄弟の視線に異様な圧を感じたんですよ」

中山さんや白川由美さんとも食事に行くこともあった。

「白川さんは、昭和のスターという感じで、車の運転もマネージャーがするのではなく、専属の運転手でした。

2人ともすごくお酒を飲んでね。白川さんからは『しっかりしなさい、あなた』と言われていました」

最近では、音楽フェスなどで浜崎と会うが、当時のことも話題になるという。

「ドラマ終了後もミポリンや3兄弟はすごく仲がよく、グループLINEもあって、最近まで定期的に集まっていると浜崎が写真を見せてくれました。『うじきさんにも今度、声をかけますよ』と誘ってくれたんですが、ミポリンの突然の訃報で……。もう、集まれないと思うと、寂しいですね」

『もしも願いが叶うなら』(フジテレビ系、1994年)

幼少期に両親が離婚、一緒に暮らしていた母も亡くなり養護施設で育った毛利未来(中山美穂)。玉のこしに乗る夢を叶えるため御曹司の井上健(うじきつよし)と婚約するが、生き別れたという兄弟たちが押しかけてきて……。浜ちゃんとミポリンの仲のよさが最高!

【PROFILE】

うじき・つよし

1957年生まれ、東京都出身。1973年に子供ばんどを結成し、1980年にデビュー。1988年に活動休止すると、俳優、タレントとして幅広く活躍。2011年にバンドの再始動を宣言し、精力的にライブ活動を行なっている。

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