開幕から3カ月が過ぎ、会期の折り返しを迎えた万博。GW以降、来場者数は右肩上がりで伸び続け、連日の盛況ぶりが伝えられている。
夏休みシーズンに入るこの7~8月は集客の本番になるだろう。
そうしたなか、盛り上がりの一方で「人気パビリオンの予約が取れない」という声も目立っている。では、どうしたら楽しめるのか。これから万博に行きたいと思っている人や、ちょっと気になっている人に向けて、万博の楽しみ方を基本の王道から、マニアックな裏技まで解説する。
■入場チケット購入からパビリオン事前予約まで
まずは入場チケットの購入から。公式サイトの万博ID登録ページにアクセスし、チケット購入に必要な「万博ID」を登録。入手したらログインし、入場チケットを購入する。料金は以下の通り(通期パス、夏季パスは除く)。
【1日券】大人(18歳以上)7500円、中人(12~17歳)4200円、小人(4~11歳)1800円

【平日券】大人(18歳以上)6000円、中人(12~17歳)3500円、小人(4~11歳)1500円

【夜間券(16時以降入場)】大人(18歳以上)3700円、中人(12~17歳)2000円、小人(4~11歳)1000円
購入したら、来場日時を予約する。1日券と平日券は、9時、10時、11時、12時~17時の枠がある。目当てのパビリオンがあれば、9時を予約すべき。
■パビリオンによっては抽選枠の開放もある
次にパビリオンの予約抽選の申し込みへ。
来場日までに計3回の予約抽選の参加機会がある。抽選日は、来場日2カ月前、来場日7日前(それぞれ前日までに第1~第5希望まで抽選申し込み。パビリオンによって時間帯ごとの抽選枠がある)、および3日前~前日(空枠先着)となり、家族、友人などグループでまとめて抽選申し込みが可能。抽選結果は同日中に通知が届く。
また、パビリオンによっては、当日の来場者対象の予約抽選枠の開放がある。開放(申し込みできる)時間は、パビリオンによって異なり、その日によっても変わることがあり、万博公式サイトまたはパビリオンごとの公式サイトやSNSで要確認。これらの予約がプラチナチケット化している。
事前予約がなく、当日の先着入場のみのパビリオンも数多くあるほか、予約枠と先着入場のハイブリッドのパビリオンもある。事前予約が取れなかったとしてもチャンスはある。当日予約抽選や先着入場のパビリオンを狙うといいだろう。また、予約入場のみのパビリオンでも、予約なしで入れる一部自由入場エリアを設けているところもあるので、そこで展示の一部は楽しめる。
■事前予約が取れなかったら?
それぞれの形式ごとの主なパビリオンは以下の通り。

【事前予約のみ(当日予約枠開放がある場合あり)】null²(落合陽一プロデュース)、GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION、空飛ぶクルマ ステーション、大阪ヘルスケアパビリオン、Better Co - Beingなど

【先着入場のみ】ミャクミャクハウス、アメリカ館、フランス館、ドイツ館、ポルトガル館、北欧館、スペイン館、中国館、コモンズ館、よしもと waraii myraii館など

【事前予約と先着入場のハイブリッド】イタリア館、イギリス館、日本館、韓国館、住友館など

【事前予約だが一部自由入場エリアあり】空飛ぶクルマ ステーション、大阪ヘルスケアパビリオンなど

(※6月末現在。変更の場合あり)
次に当日の攻略法。事前予約なしとして、先着入場の人気パビリオン1つか2つで1日の3分の1を使い、残りの時間で大屋根リングやさまざまな建造物など会場内を見て回るのが基本パターンだろう。
会場はかなり広いので、動線を研究して事前にしっかり決めるのが大事。目当ての1つか2つのパビリオンを軸にして、効率よく比較的入りやすい先着入場パビリオンを回りながら、当日予約開放枠の抽選にチャレンジ。その合間に世界中の食事やスイーツなどを楽しめば、充実した万博体験になるに違いない。
■先着入場の人気パビリオン3選とその回り方
当日朝は、地下鉄・夢洲駅から東ゲートの入場なら、予約時間の1時間半~2時間ほど前にはゲートに並ぶほうがいい。西ゲートはできるだけ早い時間のバスを予約する。予約が取れれば、西のほうが入場はスムーズだ(6月末より東から西への徒歩移動ルートが開設されたので状況が変わる可能性あり)。
入場したら、まず目当てのパビリオンにまっしぐらに向かう。先着入場の人気パビリオンでいちばんに押さえたいのは、イタリア館(予約と先着)、アメリカ館、フランス館だ。
とにかく並ぶのが、イタリア館。
予約枠がある影響もあり、午前中に入っても3~4時間待ちを覚悟しよう。一方、フランス館は流れが速い。行列は長くできるが、午前中にすぐ行けば1~2時間で入れるだろう。アメリカ館はこの2つの中間くらいか。フランス館のすぐ隣にあるが、こちらのほうが待ち時間は長い。
平日の空いている日ならば、丸一日かけて3つとも見られるかもしれないが、会場内を楽しむ時間を考えれば、ここでかけるのは長くて半日にしたほうがいい。なので、半日潰してイタリア館もしくは、フランス館とアメリカ館(またはどちらか)の二択にして挑むといい。
並びながら、null²(落合陽一プロデュース)やGUNDAM NEXT FUTURE PAVILION、大阪ヘルスケアパビリオン(リボーンステージ:モンスターハンター ブリッジ)などの当日予約開放時間をチェックし、ひたすら抽選に応募。運がよければ入場できるかもしれない。
■予約なしでも充実した1日を楽しむ方法
前提として、予約がなくても万博は十分に楽しめる。海外パビリオンはほとんどが先着入場であり、それほど待たずに入れるところも少なくない(日にちによるが)。
ただ、パビリオンは千差万別。
あっさりした展示や映像だけのパビリオンもあれば、充実した内容で学びや発見があるパビリオンもある。例えば、ドイツ館やスペイン館、サウジアラビア館などは趣向を凝らした内容が楽しめる。韓国館はメッセージ性の強いストーリー演出があり、インド館は体験を含めた展示が充実している。
■行列ができているパビリオンには理由がある
特徴的な建築のウズベキスタン館やポーランド館、オーストリア館、ベルギー館、北欧館、中国館などもすぐに行列ができる。一方、アゼルバイジャン館は入口は荘厳な雰囲気だが内容はあっさりしていた。トルコ館は入場列よりも、独特な食感のトルコアイスの販売列のほうが長かったりもする。
事前に情報を得ておくことをオススメするが、やはり行列ができているパビリオンは、さまざまな映像や展示など演出が盛りだくさんで楽しめたり、それぞれの国の文化や歴史、最新技術などを感じられるしっかりした内容が多い。ネットニュースや来場者のSNSの声などは参考になるだろう。
回り方としては、午前中に西のイタリア館もしくは東のフランス館とアメリカ館に入り、これからの季節の日差しを避けながら、大屋根リング沿いに興味ある国のパビリオンをこなしていくといいだろう(入場列は大屋根リングの下の日陰にできる)。予約なしでも、パビリオン5~7つほどは楽しめるはず。
■「引き返さない動線」を3プランまで作る
とにかくカギは事前のプランニング。絶対押さえたいパビリオンを軸に、東から西、または西から東へ大屋根リング沿いの引き返さない動線を、Aプラン、Bプラン、Cプランまで作り、予約状況に応じて柔軟に変えていくことで、最大のコストパフォーマンスを上げられるだろう。

また、7月以降の持ち物では、日傘、タオル、サングラス、日焼け止め、熱中症対策のドリンクは必携だ。人気パビリオンに並ぶなら、携帯チェアや敷物があれば座って待てるので持っていきたい。
■万博の醍醐味を体感するために押さえたいポイント
パビリオン以外で押さえたいのが、大屋根リングと夜のショー。
会場内にはさまざまな建築やインスタレーションがあちこちに立ち並び、散策するだけでもワクワクするが、それらを一望できる大屋根リングからの景観はすばらしい。会場内のどこも、見る角度や時間帯によって顔が変わる。海側からは大阪湾の景色が開ける。自分だけの時間と風景を写真に収めていけば、何物にも代えがたい思い出になるだろう。
そして、1日の締めくくりに相応しいのが、ウォータープラザの夜のショー。「アオと夜の虹のパレード」は休止中(6月末現在)だが、夜ライトアップされた大屋根リングの木組みは幻想的な美しさで光り輝き、その南側上空で行われるドローンショー(19時57分から)は、無数のドローンの光が映し出すさまざまな光景に心を奪われること間違いなし(パビリオンを攻略したい人は、この時間帯を狙えば入りやすい)。
目当てや目的がなくても、行ってみれば、想像以上に多くのパビリオンに入れて、気づけば会場内を歩くことを楽しんでいるだろう。どんな回り方をしても、万博で1日を過ごした後は、充足感に満たされるはず。わずか半年の会期の半分がすでに過ぎた。
でもまだ3カ月ある。一生に何度もない貴重な機会を楽しんでみてはどうだろう。

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武井 保之(たけい・やすゆき)

ライター

エンターテインメントビジネス・ライター、編集者。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスで活動中。映画、テレビ、音楽、お笑いを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを分析や考察する。

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(ライター 武井 保之)
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