「クレジットカードの明細を見ていたら覚えのない引き落としが。

当時小学生だった息子のオンラインゲームのサブスク……。

利用しないまま7年間も年額5千円ほど払い続けていました。高い勉強料でした」(50代の女性)

定額料金で一定期間のサービスを受けることができるサブスクリプション(以下、サブスク)。

動画見放題や音楽聴き放題などが代表的だが、サブスクには、特定のソフトが使い放題といった「利用権」を購入するサービスのほか、化粧品や健康食品などの定期購入、洋服やバッグのレンタルなど「商品」を購入するサービスまで多岐にわたっている。

そんなサブスクは、ネットで簡単に契約でき、都度払いよりも手軽と大はやり。

その一方で、利用しているかどうかにかかわらず課金されるため“支払い続ける”といったトラブルも少なくない。

国民生活センターが集計した全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は年々増加。

サブスクに関しては、この1年で1万5千件以上の相談があり、その大多数が解約に関するトラブル。

とくに50~60代の相談件数が急増中だ。

■解約させないようにしている悪質な事業者も

どんな実例があるのか、またその対処法は?

インターネットの商取引に関する相談を受けている一般社団法人ECネットワーク理事の原田由里さんに聞いてみた。

【実例(1)】サブスクを20年間で12万円払い続けたケース

《月々数百円程度だと軽く考えサブスクを放置。『~プレミアム』といった会員制プログラムの月500円のサブスクを20年間払っていました。これまで12万円以上をムダに》(60代の男性)

「サブスクのトラブルのなかには、解約するのを忘れて利用していない期間も定額料金を支払っていたケースも。

とくに商品が手元に届かないサブスクは、契約が継続していることに気付きにくい。クレジットカードの明細を毎月確認して、利用していないサブスクがないか確認することが必要。

また契約時に設定したIDやパスワードを管理しておくこともポイントです」(原田さん、以下同)

サブスクのサービスがスマホのアプリの場合、アプリストア(AppStoreやGoogle Play)にある現在契約しているサブスクのリストから解約したいサービスを選べばいい。

また動画配信サービス「ネットフリックス」には一定期間利用がない場合、通知や自動的に解約される機能がある。

このように“大手のサブスク企業”の解約手続きはさほど難しくない。

【実例(2)】悪質サブスクの落とし穴にはまったケース

《動画を見ていたら“シミが消える”という美容クリームの広告が。1万円の商品が初回限定500円で購入できると書いてありクレジット決済で注文。クリームが届きましたが、その後、毎月1万円のクリームが届き続ける定期購入の契約になっていました》(60代女性)

最近増えているのが、SNSや動画のバナー広告からサブスクへ誘い込む悪質な事業者だ。

「SNSには中高年層をターゲットに容姿に関するコンプレックスの解消をうたった商品のバナー広告も少なくありません。

販売サイトに移動しても、契約する前に説明をよく読み、事業者への連絡手段だけでなく、解約方法や条件も確認しておくこと。

たとえば『1カ月無料』とあっても、加入日の1カ月後なのか、月末までなのか事業者によって設定が違います。

また無料や割引期間がいつ有料になるかを確認したり、契約画面のスクリーンショットを撮ったりすることも忘れないでください」

■クレジットカードの番号を変えるのもひとつの手だ

【実例(3)】解約したくても事業者の連絡先がわからないケース

《サプリの定期購入を解約しようと事業者に電話をかけたが、混雑していてオペレーターと話ができず、いつまでたっても解約できません》(40代女性)

解約方法が電話に限定されているものの、事業者に連絡してもつながらないケースも多い。

「契約前に、事業者への連絡手段を事前にチェックしておくことが肝心です。

サブスク事業者のなかには、解約させまいとあえて電話をつながりにくくしていることも。

もし電話以外のメールアドレスや住所などの連絡先がわかれば、その連絡先に『解約したいが電話がつながりません』と困っていることを伝えることです。

また同時に通話履歴のスクリーンショットを撮っておいて電話がつながらなかった証拠を残しましょう」

解約したくても事業者と連絡が取れない場合は、消費者ホットライン「188」に相談するのも手だ。

連絡先などのアドバイスをしてもらえることもある。

【実例(4)】解約しようと思ったら英語で返信がきたケース

《娘から孫の写真を送るからと言われ、オンラインストレージサービス(ネット上でデータを保管する場所を提供するサービス)に登録をして『スタート』ボタンをクリックしたところ、別の海外の動画配信サービスの事業者から『登録完了』のメールが。

無料期間中にキャンセルがなければ月7千500円がカードから引き落とされることに。解約の手続きをしたら英語で返信がきて途方にくれました》(60代男性)

海外のサブスク事業者とのやりとりに困ったら、国民生活センター「越境消費者センター」(CCJ)のウェブサイトには役立つ情報が多いようだ。

また悪質なサブスク事業者にはこんな奥の手も……。

「事業者の連絡先がどうしてもわからない、また解約を防ぐためログインできない、といった明らかに事業者が悪意をもっているときには、クレジットカードの番号を変える方法も。

クレジット会社に連絡をして『悪意あるサブスクからの請求が止まらない』といえば、悪用防止として番号の変更に応じてくれるはず。

公共料金をクレジット決算している場合は厄介な手続きが増えますが、継続的に支払っているサブスクの請求は確実に止まります」

サブスクの解約テクを知って、ムダな出費を防ごう!

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