7月に行われた参院選で神奈川選挙区から出馬し、初当選した参政党・初鹿野裕樹議員(48)。現在、彼の「肝いりのマニフェスト」が物議を醸している。
参院選公示前から初鹿野氏はXで、
《私は普段から政治と金の問題を非難しているので、当選の暁には議員歳費は返納予定です》(’25年1月4日)
《【議員歳費(給与)を返納します】幼い頃、政治家は人間のクズだと思っていた。 「政治と金の問題」いつになったら解決するのか? 私が国会議員になった暁には「国会議員歳費・旅費及び手当等に関する法律」を改正し、歳費(給与)を返納します。お金のために議員を目指すのではない証として》(’25年1月30日)
などと投稿し、“当選したら議員歳費を返納する”と公言していたのだ。
ところが議員になって以降、返納に代わる歳費の使途、法改正に向けた進捗状況など、初鹿野氏からの具体的な報告は聞こえてこない。そこで本誌が9月12日、参政党事務局に問い合わせたところ、17日に本人から回答が書面で寄せられた。
初鹿野氏は「歳費返納については、かつて参議院で自主返納制度があったことを念頭に、『法改正がされた場合に返納する』という趣旨で、本年1月に私の見解として発信したものです。現行制度では議員が個人判断で歳費の返納をすることはできません。当該説明は既に行なっておりますが、私の本件投稿で直ちに歳費返納をするとの誤解を招いたようでしたらお詫び致します」と釈明。
では、議員になったことで法改正に向けて動き出すのかと思いきや、「本来、所属政党の方針を尊重して発信するべき事項であるところ、所属政党の方針を確認せずに投稿した点においては不適切であったと感じております。そのため、今回ご質問を受けた歳費返納の意向は一度取り下げたいと思います」と歳費返納を撤回するとコメントしたのだ。
本誌がこの回答を取り上げた記事を17日に配信したところ、翌日、参政党の神谷宗幣代表(47)がXで同記事を引用し、こう謝罪した。
《こちらのニュースに関しては、当時私がこの投稿を見つけて、誤りを指摘し注意しました。
当然、投稿は削除したものと考えていたら、削除されていなくて、今回の指摘です。今後、こうしたことが起こらないように、さらに新人議員や候補者の教育と指導に力を入れていきます。申し訳ありませんでした》
■「教育と指導で終わりですか?」有名ジャーナリストが神谷氏の謝罪を問題視
初鹿野氏を直接注意していたという神谷氏。しかし、政治部記者は首を傾げる。
「『誤りを指摘し注意した』と言いますが、それがいつのことなのかわかりませんし、これでは後からいくらでも言えてしまいます。現に初鹿野氏の投稿は今回問題となるまで削除されずに残ったままでした。
初鹿野氏は57万以上もの票数を獲得し、当選を果たしました。その中には歳費返納を支持して投票した人もいたことでしょう。にも関わらず、注意だけで終わらすのは不誠実だと感じる人も多いようです」
実際、Xでは《注意だけでは不十分だ》という声が相次いでいる。
《代表が謝って済む問題ではないと思います。
《何を言い訳しようがこの人の歳費返納すると言う公約で参政党に票を投じたであろう有権者を騙したことには変わりない。代表が党としてここまで言うなら指導、注意じゃなく議員辞職させるのが筋》
《日頃からサムライだの武士の心だの、先日も高い倫理観を持ってだの言ってたんだ、教育と指導します、なんてことだけで、まさか終わりにできるなんて考えてないよな?》
そんななか、神谷氏の対応に不満を感じるジャーナリストが。それは、江川紹子氏(67)だ。オウム真理教の取材により「菊池寛賞」を受賞するなど、ジャーナリズムの第一線で活躍する江川氏。19日、神谷氏の謝罪投稿を引用するとこう苦言を呈した。
《なんの処分もなく、教育と指導で終わりですか?》
党の代表まで巻き込んでしまった初鹿野氏の“歳費返納撤回”問題。神谷氏は19日のXの投稿で改めて《勝手な解釈をしたことを猛省すべきです》と怒りをあらわにしたが、この先初鹿野氏になんらかの処分を下すことはあるのだろうか。