石破茂首相(68)の退陣に伴い、10月4日に投開票が行われる自民党総裁選。立候補しているのは、小泉進次郎農相(44)、小林鷹之元経済安全保障相(50)、高市早苗前経済安全保障相(64)、林芳正官房長官(64)、茂木敏充前幹事長(69)の5人だ。
2度の国政選挙で与党過半数割れの大敗を喫し、崖っぷちに立つ同党にとって、きわめて重要な意味を持つ今回の新総裁選び。もちろん、物価高や経済対策、安全保障など課題が山積するなか、国民も厳しい視線を注いでおり、SNSでは各候補者に対する期待や諦めの声が入り混じっている。
世代によって、新総裁に期待するものは異なると思うが、果たして投票率の低さが指摘される若者世代は誰を望み、望まないのか。そこで本誌はWEBアンケートツール「Freeasy」にて、全国の10~20代の若者を対象に、次期総裁に「なってほしい/なってほしくない」候補者についてアンケートを実施。今回は「なってほしくない」候補者の上位3名を紹介する。
第3位は茂木敏充氏。「党三役」のうち幹事長、政務調査会長を務めた経験があり、関税交渉で日本が苦戦を強いられたトランプ政権 (第1次)とは、経済再生担当相として日米貿易協定の交渉を担い、トランプ氏からは「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と称されたこともある。
東京大学経済学部を卒業、ハーバード大での留学経験、マッキンゼー・アンド・カンパニーでの勤務経験など党内でも屈指のエリート議員の茂木氏だが、今回の総裁選では“庶民感覚”とのズレが目立っている。16日に都内のスーパーを視察した際、高級車で店先に乗りつけ、秘書の持つ財布から商品代金を支払うなど、買い物に慣れていない様子が報道番組で取り上げられると、SNSでは“庶民アピール”に批判が相次いだ。
さらに、21日に視察した都内の「子ども食堂」で誕生日ケーキを振舞われる姿もSNSで注目を集め、政治家が子ども食堂で“おもてなし”を受ける意義をめぐって厳しい声が上がった。このような最近の騒動や、候補者の中では最年長で、10月で70歳という年齢面もネックになっているようだ。
《最近の偽善的な活動が目につく》(23歳男性)
《スーパーへの視察がわざとらしく嫌だった》(26歳女性)
《もう少し若い人材になってほしいから》(29歳男性)
《考えが古そう》(20歳女性)
第2位は高市早苗氏。
ただ、今回のアンケートでは、そのような保守的な価値観に抵抗感を抱く声が並んだほか、高市氏が’23年、放送法の解釈変更をめぐる総務省の行政文書の中で、総務相時代の自身に関して記載された部分を「ねつ造」と断言していたことを指摘する回答者も。
また、今年の参院選告示前後から、しきりに取り沙汰されてきた「外国人問題」について、高市氏も9月22日の所見発表演説で、SNSで拡散された映像を念頭に、奈良公園のシカが外国人に「蹴り上げられる」事案が確認されたと発言。ところが、24日の公開討論会で発言の根拠を問われるも、「自分なりに確認した」とあいあまいな回答に終始し、SNSでは高市氏の情報リテラシーを問う声が後を絶たなかった。
《総務省の職員が議事録を捏造したと主張したから》(23歳女性)
《思想が右に偏りすぎている。幼稚なナショナリズムと排外主義に溢れる日本になってほしくない》(26歳男性)
《外国人問題などの発言で個人的に不安がある》(27歳女性)
そして、第1位は小泉進次郎氏。今年5月、コメの価格高騰への対処が喫緊の課題として上がる中、農相として“随意契約”で政府備蓄米の放出に踏み切り一定の成果を上げた。前回の総裁選では、1回目の投票で9候補中トップの国会議員票を獲得しており、今回は石破氏に流れていた党員票をどこまで集められるかが勝負のカギになりそうだ。
9月20日の出馬会見では、“自民党には国民の声を聞く力が足りていなかった”と反省を口にしていたが、SNSに慣れ親しんだ若者の間では、小泉氏の“聞く力”を疑問視する声が多い。というのも、小泉氏のXは、投稿に対してユーザーがコメントを書き込めない使用になっているのだ。
そのほか、同じ意味の言葉を反復したりする独特の“言い回し”はSNSで「進次郎構文」とキャッチ―にもてはやされている側面もあるが、“意味がわからない”“中身がない”といった皮肉が込められている場合がほとんどだ。9月24日の討論会では、カンペに何度も目を通していたことを記者から指摘されていた。当選6回のキャリアを持ちながら、いまだ“経験不足”といった声が上がるは、このような言動が不安視されているからかもしれない。
《言動が理解できないし米騒動でもかなり幻滅したから》(26歳女性)
《国民の生の声を聞くと言っているが、そもそもSNSのコメント欄を閉じリプライすらも制限してる。 ただ人気だからだけで総裁になってほしくない。 国民を第1に考えているのかも懐疑的だから》(23歳男性)
《嫌いではないが、ネットで揶揄されている「小泉構文」を見ると、総裁(総理)になることに不安を覚えるから》(29歳男性)
《経験が浅いと思うから》(24歳女性)
また、アンケート実施後には、小泉氏の陣営が動画配信サイト上で、小泉氏には有利なコメントを、対立候補には中傷するようなコメントを書くよう関係者に以来していた“ステマ指示”が週刊文春によって報じられ、小泉氏も事実関係を概ね認め謝罪している。さらなる逆風が吹き荒れるなか、小泉氏の命運は――。