「北海道は広くて巡回が大変ですね」

総裁を務める結核予防会の職員をこう労われた紀子さま。9月24日、訪問した札幌市で、北海道結核予防会の活動現場を視察されていた。

「紀子さまは同会の活動を視察し、イベントに集まった人々と交流されていました。終始穏やかなご様子でしたが、悠仁さまの成年式に伴う一連の行事が一段落したことも大きいでしょう。

ちょうどこの日からは、大阪・関西万博のご視察へ悠仁さまが向かわれていたように、大々的に“アピール”の場も増やしてきています。紀子さまは今後も悠仁さまの露出を積極的に増やしていきたいご意向があるようですし、皇嗣家のイメージアップにつながる施策を仕掛けていきたいと意気込まれているようです」(皇室担当記者)

だが紀子さまの安堵感をよそに、秋篠宮家を支える皇嗣職に暗雲が立ち込めているというのだ。宮内庁関係者は語る。

「9月中旬、『文藝春秋PLUS』などが、秋篠宮ご夫妻の側近トップという重責を担う吉田尚正・皇嗣職大夫の“退任説”を報じたのです。宮内庁長官は70歳が“定年”という慣例があり、6月に70歳となった西村泰彦長官も勇退し、黒田武一郎次長が後任に就くとみられてきました。そうした動きに合わせるかのように、吉田氏も西村氏に続いて身を引くのでは、と宮内庁内外で囁かれているというのです」

2022年に秋篠宮家付の宮内庁御用掛となり、昨年皇嗣職大夫に着任したばかりの吉田氏。全国屈指の難関校である灘中高、東京大学法学部を経て警察庁に入り、首相秘書官や福岡県警本部長、警視総監を歴任した、生粋のエリート警察官僚だ。

「福岡県警では、悪名高い特定危険指定暴力団『工藤会』の壊滅作戦を指揮、トップらを一斉逮捕する成果を上げ、勇名を轟かせたほどでした。

少林寺拳法の有段者で、かつ4カ国語を流暢に操り博識。そのキャリアも相まって、吉田さんの大夫着任時には、皇嗣家の“格”を上げると、秋篠宮さまや紀子さまも非常に満足げなご様子であったそうです。

成年式に向け、周到にご準備を進められてきましたし、悠仁さまの伊勢神宮や神武天皇陵のご参拝にも吉田さんが同行されていました。成年式成功の立役者ともいえる吉田さんですが、このところ両殿下との間に“隙間風”が吹いているという声も聞こえてきます」(警察庁関係者)

■皇嗣職大夫が見せた記者会見での“異変”

5月下旬、米国で生活する眞子さんの第1子出産が明らかとなり、吉田氏は定例記者会見で、

「皇室を離れられた方のお事柄でありますので、(中略)一部メディアで報じられたということもありまして、お知らせすることにしました」

と述べていた。このときの様子について、前出の皇室担当記者はこう振り返る。

「公表にいたった経緯について問われ、吉田氏はそう言い切ったわけですが、明らかに渋々応じたというか、歯切れが悪かったのです。また悠仁さまの成年式に先立ち、小室さん夫妻の出席の有無について質問が上がっても、“前例に則って”と要領を得ない答えに終始していました。

そうした様子からも、“秋篠宮さまや紀子さまとコミュニケーションが取れていないのでは”“眞子さんについて、ご夫妻からほとんど情報が与えられていないのか”という見方が広がったのです」

霞が関の事情に詳しい「インサイドライン」編集長の歳川隆雄さんによれば、吉田氏の“退任説”には出身官庁の事情とも関連しているのではないかという。

「吉田氏はまだ64歳で、一般的に就任から2年もたたずに身を引くとは考えにくいです。それにもかかわらずこうした話が流れているのは、警察庁内の人事事情と関連しているのかもしれません」

伝統的に政治や官庁間の思惑が交錯する宮内庁の幹部人事。とはいえ、秋篠宮家特有の事情が、もっとも吉田氏を苦しめている背景が大きいと、前出の宮内庁関係者は指摘する。

「昨年、秋篠宮家は吉田さんの出身である警察庁と、出向者の扱いを巡る確執が報じられたこともありました。

さらに、話題を集めた秋篠宮邸の改修の際、経費をかけないというご意向であった秋篠宮さまと、皇嗣家の将来的な立場や宮邸の機能面を考慮し、改修に細かく指示された紀子さま……といった具合に、両殿下のお考えが相反したことがありました。こうした指揮系統が混乱する事例はこれまでもたびたび起こってきたのです。

秋篠宮家に仕える職員の仕事に、紀子さまは高い使命感から語気を強めて注意し、職員が萎縮することもしばしばで、かねて『ご難場』と言われてきました。また過去には秋篠宮さまの逆鱗にふれた幹部が更迭されたこともありましたし、幹部はご夫妻の意に沿わないことを口にしないよう、気を配り続けています。

吉田さんは官僚として高い実績がありますし、ご夫妻に手腕を期待されて皇嗣職大夫に就きました。ただ、秋篠宮家の複雑な事情には手を焼いているのでしょう。この状況が続くようなら、吉田さんが退任してしまうこともありえない話ではないと思います」

最側近の離反すら現実味を帯びている危機。紀子さまが現状を放置され続ければ、悠仁さまの将来のご活躍にも影を落としかねない。お近くで支える職員と力を合わせ、“融和する皇嗣家”を国民に示していただきたいものだが――。

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