皇室経済会議が9月30日に宮内庁で開かれ、寬仁親王妃信子さまが三笠宮家を離れて新たな宮家「三笠宮寬仁親王妃家」を創設され、長女の彬子さまが三笠宮家の当主を継承し瑶子さまと同家に残られ、それぞれが独立した生計を営むことが承認された。
「女性皇族が当主となるのは、当主を亡くした妃が継ぐというケースがほとんどです。
元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんは、一連の背景をこう解説する。
「寬仁親王は長男として将来、三笠宮家を継承することになるため、弟の桂宮や高円宮のように宮号を天皇から賜らず、結婚による独立後の家の名称は寬仁親王家でした。しかし残念ながら、三笠宮家を継承することなく、2012年に薨去されました。
殿下が薨去された後は妃殿下が皇室経済会議において独立した生計を営む親王妃と認定され、いわゆる当主となるのがそれまでの流れでしたが、ご家族間で話がまとまらず、当主不在が続きました。そして1年後、ご家族そろって崇仁親王が当主の三笠宮家に合流されました。崇仁親王が薨去された後は、百合子妃が当主を務められていました。
昨年11月に百合子妃が薨去されたために、次の三笠宮家の当主を決めなければならなくなりました。宮家の名称や継承については法的な定めがなく、宮内庁が決めることもできないため、ご家族で話し合われた結果を尊重することになります。その結果が法的に問題なければ、皇室経済会議で独立した生計を営む皇族として認定することになります」
皇室経済会議を経て、当主となられた信子さまと彬子さまの皇族費が増額された。皇族費とは、天皇家や上皇ご夫妻をはじめとした内廷皇族以外の皇族方に、品位を保持した日常生活を送るために支出されるものだ。
「皇族費はご家族の立場に応じて細かく定められているほか、その使途には各宮家が私的に雇う職員の人件費や、祭祀などの費用にも充てられています。今回当主となられた信子さまは1525万円から3050万円に、彬子さまが640万5千円から1067万5千円と増額されました」(前出・皇室担当記者)
しかし前出の山下さんによれば、その金額の妥当性については議論の余地が残されているとし、こう続ける。
「今回の結果を見て、バランスが悪いと感じたのは皇族費です。三笠宮家の祭祀を継承されない信子妃殿下おひとりで3050万円なのに対して、三笠宮家の祭祀を継承される彬子女王殿下と妹の瑶子女王殿下は、お二人合計で1708万円です。
詳細は省きますが、1953年の皇室経済法改正の際の、宮家を維持していくためには定額(現在は3050万円)が必要との答弁に合っていません。前例からしても、宮家の維持に十分な金額ではないことは明らかです。
現在の皇族費の定額は、平成8年に改定されてから変わっていません。そして、そもそも品位保持のために国がお渡しする皇族費は、必要な額の8割程度とされています。10割ではないことが宮家皇族の自由度とも関連しているのですが、昨今の人件費や物価の上昇から、定額の改定はもちろん、抜本的な見直しも必要になってきていると言えるでしょう」
皇族方も物価高と無縁ではいられないご時世ということか――。