2026年から「宿泊税」を導入する自治体が増えるようです。

宿泊税とはホテルや旅館などに宿泊する顧客から徴収する税金で、自治体が独自に定める「法定外目的税」のひとつです。

2025年末までに17の自治体で導入されていますが、2026年は約30の自治体が新設を予定しています。

たとえば、4月から宿泊税の徴収を始める北海道は、1人1泊の宿泊料金が2万円未満なら宿泊税は100円、2万円以上5万円未満なら200円、5万円以上だと300円に設定。温泉地などで徴収される「入湯税」と同様に、宿泊料金と一緒に支払います。

また、北海道札幌市や小樽市、函館市などは、道に加えて市でも宿泊税を導入します。たとえば小樽市の宿泊税は、宿泊料金にかかわらず1人1泊200円。宿泊客が支払うのは、宿泊料金が2万円未満だと北海道に100円と小樽市に200円で計300円。道税に市税を上乗せする格好です。家族で連泊すると人数×泊数が加算され、負担が大きくなります。

さらに、導入済みの宿泊税の値上げも見られます。京都市では現在「宿泊料金1人1泊5万円以上で宿泊税は1千円」が最大ですが、3月以降の最大は「宿泊料金1人1泊10万円以上で宿泊税1万円」。インパクトの大きな引き上げです。

■オーバーツーリズムで散乱ごみ対策にも使われて

こうした宿泊税は、インバウンドの増加を受けて整備されています。

2025年の年間訪日外国人数は4千268万人と、初めて4千万人を突破しました(日本政府観光局)。訪日外国人の旅行消費額も、2025年は過去最高の9兆5千億円となり(観光庁)、財政がうるおった自治体も多いでしょう。

いっぽう、問題はオーバーツーリズムです。宿泊税は徴収した税金の使い道をあらかじめ定めていて、多くの自治体がオーバーツーリズム対策に活用します。たとえば京都市では、京都の魅力向上や伝統文化の担い手育成などと共に、散乱ごみ対策などにも宿泊税を使います。観光客にも地元住民にも、安全で快適な環境になるよう活用してほしいものです。

オーバーツーリズムというと、昨今「二重価格」がよく議論されます。観光客と地元住民、日本人と訪日外国人などと線引きを決め、異なる価格を設定することですが、海外ではよく見られます。フランスのルーブル美術館でも2026年1月に導入され、EU諸国などの人は一般入館料22ユーロ(約4千円)ですが、それ以外だと32ユーロ(約5千900円)。価格差が大きいですね。

二重価格も含めて、値段は売る人が決めるものです。買う人は、その値段にふさわしいかを判断し選ぶ権利があります。

高すぎるから買わない。売れないから値段を下げるといったせめぎあいの末、適正な価格に落ち着くのです。

宿泊施設でも、総額をただ払うだけでなく、宿泊税など中身にも注目してください。シビアな家計管理力、選ぶ目を養って、物価高のご時世を生き延びましょう。

【PROFILE】

おぎわらひろこ

家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数。

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