「いまはうれしい気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。長男のときもそうでしたが、今回も周りの人たちのサポートのおかげで授かることができました」
膨らみ始めたおなかを、ときおりさすりながら語る女優・加藤貴子(46)。
「交際を始めたころから私は『子どもは欲しい』と、言っていました。彼は『貴子が欲しいならつくろうか』というスタンス。その後、私は妊活のようなものを始めました。婦人科の検診に行った際にホルモン値を測ったり、先生から教えてもらって排卵日がわかる検査キットを購入してみたり……。ホルモン値は正常で、お医者さんからは『タイミングさえあえば子どもはできるよ』と、言われていましたので、あえて不妊治療専門のクリニックに通うことは考えていなかったのです」
だが、妊活を始めてから8年たっても妊娠することはなかった。彼女の状況を知った仲のいい監督から「僕の知っている不妊治療クリニックに行ってみたら?」と勧められたという。
「さっそく電話したところ、私の年齢が42歳と聞いて『すぐに来なさい』と、言われたんです。私に限らず、40歳を過ぎたらすぐにクリニックに来て、どういう状態かを把握するための検査を受けるべきだと。
男性不妊とは、精子の数や運動率の低下が原因でうまく受精しないなど、妊娠のためには男性側の改善が必要とされる状態のこと。
「それまで彼は健康診断でひっかかることもありませんでしたし、まさか子どものできなかった原因が自分にもあったとは思いもよらなかったようでした。先生は最近の日本で男性の不妊症が増えていること、不妊治療のためにクリニックを訪れる夫婦の半分程度が彼のような男性不妊であり、それは特殊なことではないこと、また改善策があることなどを話してくださいました。改善策は1.1日45分間のウオーキング、2.規則正しい生活、3.食事の取り方の工夫、4.飲酒したら3日空けること−−の4点です。実際に半年ほど続けたところ、彼の精子の状態は改善されていき、活発に動くようになっていきました」
’13年10月31日、加藤は43歳で入籍した。だがこの前後に3度も流産を繰り返していたのだ。特に3度目の流産は、自然妊娠を果たし、喜んでいた矢先の出来事だった。
「しばらくの間は、流産の悲しさから立ち直れませんでした。3回も連続で経験したのは、私の卵子が老化してしまっているからだ、私の努力が足りないのではないか、私は不育症なのではないか……など、自分を責めてばかり。
当時のことを語る加藤の瞳には涙が光っていた。ブログでは「サクちゃん」と呼んでいる長男が誕生したのは’14年11月、加藤が44歳のとき。
「不妊治療は大変です。私のブログへの書き込みは全部拝見していますが、本当に皆さんつらい思いをされていらして、その気持ちが痛いほど伝わってきます。特に女性が仕事をしながら通院して治療を受けるのは容易なことではありません。私も大変な思いをしました。治療を始めてから毎日、ホルモン注射を打っていたのですが、ロケ現場付近に注射を代行してくださる病院がなかったことがありました。片っ端から電話しても、『うちで治療をしていない方はお引き受けできません』と、門前払い。やむをえず早朝4時半に、かかりつけのクリニックの看護師長さんに対応していただいたこともありました」
インタビューは2時間近くに及んだが、加藤は最後に夫への感謝を語った。
「わが家では夫が私の話を聞いてくれたので、それがガス抜きになりました。ふだんはのらりくらりしているところもある夫ですが(笑)、いざというときはメンタル面でサポートしてくれ、頼りになりました。