年を重ねていくにつれ、お祝いやお返しなどのやり取りが増えたと感じませんか?

 お祝いは“気持ち”とはいえ、子どもの有無や人数によって、「損をしている」と感じてしまうこともあるでしょう。それぞれの持つ常識が違うからこそモヤッとしてしまうことも。


 東京都在住の美里さん(仮名・33歳)は結婚して5年で、現在は不妊治療中。夫には兄がおり、兄家族には既に4人の子どもがいます。

 子どもが大好きな美里さんですが、自身がなかなか授かれないこともあり、義実家に行くとモヤッと感じることが多いんだそう。

身内へのお祝いはどこまでするべき?

義兄の4人の子どもへのプレゼントがしんどい。夫に訴えると“ま...の画像はこちら >>
「義兄夫婦に最初に子どもが生まれたのは、まだ私が夫と結婚する前でした。その頃から義兄家族との交流は密で、関係も良好でした。

 夫は当時から兄夫婦に出産祝いには御祝儀、誕生日にはプレゼントなど頻繁にお祝いを渡していたので、私も出産祝いとして子どもにちょっとしたおもちゃなどプレゼントしたことがあります」

 義兄夫婦に子どもが2人産まれたのちに結婚が決まり、義兄夫婦とより密な関係を築くことになったという美里さんは、当時はこんなことでモヤッとするなんて想像もしなかったと語ってくれました。

違和感が大きくなっていく

「結婚してすぐに違和感を覚えたのが、兄夫婦に子どもが生まれるたびに義母から『出産祝いは3万円包んで渡しておいてね!』『お年玉は兄弟で同じ額にしてあげてね』など細かく指示があったこと。

 義母はフランクに接してくれる人で、とてもよくしてくれる人だからこそ、この違和感を見て見ぬふりをして来たのも事実です」

「最初は親戚付き合いってこんな感じなのかな」と思っていた美里さんも、だんだんと金銭的な負担を感じるようになってしまったのだそうです。


3人目の甥っ子が誕生!義母の発言にモヤモヤ

義兄の4人の子どもへのプレゼントがしんどい。夫に訴えると“まさかの一言”
義母
「子ども関係のイベントがあるたびに、義母に言われる通り義兄家族にお祝いを用意していたのですが、年末に義実家に集まった際に『実は3人目を妊娠してます!』と義姉からの発表がありました。

 素直に『おめでとうございます!』と伝えると、『美里ちゃんたち夫婦はお祝い大変になるわねぇ』と冗談交じりに義母に言われ、ドン引き。そして家に帰ってから夫に私の胸の内を話したんです」

 美里さんは『お祝いの金額を一方的に指定されて、それを当たり前だと思われていることに複雑な感情になった』と話してくれました。

夫からの辛らつな言葉

「夫には、『甥っ子の誕生日はもちろんお祝いしてあげたいけど、入園祝い、クリスマスなど全ての行事ごとのお祝いを私たちがやってあげなくても良いんじゃないかな?』と話したんです。

 お祝いは気持ちなので、渡したいタイミングで渡せばよいと思うし、我が家にはまだ子どもはいないのに毎年当たり前のように甥のお祝い事のタイミングで義実家に招かれます。

『ありがとう』とは言ってもらえますが、義兄夫婦は私たちから毎回プレゼントがあるていで子どもたちに話しているようで甥からも『〇〇ちょうだい』などと言われることも……。

 夫からは『美里は損得感情が強すぎる』と言われてしまい、夫は『こちらに子どもが居る居ない、お返しがないなどはまったく関係ない。お祝いしたいからあげたい』という考え方なようです」

 言っていることは分かるものの『これをずっと続けることが金銭的に現実的ではない』と思っていたため、この話をするたびに言い合いになってしまうこともあり、この手の話題は次第にタブーになっていったそうです。


夫との金銭感覚が合わない

義兄の4人の子どもへのプレゼントがしんどい。夫に訴えると“まさかの一言”
喧嘩
「私たち夫婦はなかなか子どもに恵まれず、不妊治療で病院に通うようになりました。治療を始めてからメンタルも落ち込み気味だった時期に、義姉が4人目を妊娠したんです。

 私がその時思ったのは『またお金がかかるなぁ……』ということ。本来おめでたいことなのに、気持ち的に素直に喜べない自分が嫌な人間に感じることもありました。

 夫の協力のもと、私は不妊治療のために仕事を辞めることになり、治療費もかかるため節約しながら妊活していたので、金銭的な負担が次第にストレスになっていたんです」

兄弟間で子どもの人数が違うと大変

 自身は子どもが居ないことに対し、4人分のお祝いをすることがだんだんと負担になっていったという美里さん。『可愛い甥のお祝いをしてあげたい気持ちは私も一緒なので、ケチだと言われることに納得がいかない』と話してくれました。

「毎回盛大にお祝いしてあげたいという夫の気持ちは本当に優しいと思います。
しかし、自分たちの生活もあるので、『正直そこまでしてあげなくても……』と思ってしまうんです」

 美里さんは未だに不妊治療は続けており、『この先子どもを持てるかどうか分からない』と漏らしていました。最近では、義理の家族との距離を置きたいとすら考えるようになったといいます。

 兄弟間で子どもの人数が違う場合の“お祝い”の正解は、いったいどこにあるのでしょうか……。

<取材・文/鈴木風香>

【鈴木風香】
フリーライター・記者。ファッション・美容の専門学校を卒業後、アパレル企業にて勤務。息子2人の出産を経てライターとして活動を開始。
ママ目線での情報をお届け。Instagram:@yuyz.mama