こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。
春休みがはじまり、いつも以上に育児の負担がかかっている皆さま、本当におつかれさまです。いつもなら昼は給食やお弁当で済むのに、ランチまで用意するとなると、息つく暇などありませんよね……。
私も小学生の男の子を育てるママとして、大変さが痛いほどよくわかります。そこで私は、ごはん作りに奮闘するママやパパが、少しでも精神的にラクになるような話題が提供できたらなと考えました。
子どもたちから“手抜きごはん”と言われないように、毎日必死でやりくりしている方は少なくないでしょう。
できる限り手作りで、栄養バランスもとれていて……、ちょっとストップ! 実はそれ、親だけが自分で自分を苦しめている呪縛モットーになっている可能性があるなと感じたのです。
私は日々食育を研究・実践しながら、さまざまな家庭や子どもたちの様子を観察していますが、今回改めて、小学校低学年の親子約50組に話を聞いてみました。
今回の話はそれらのエピソードをふまえたもの。皆さんにとって少しでもストレス緩和につながればという想いをこめながらはじめていきたいと思います。
親は市販の惣菜を食卓に出すことにためらいがある!?
その答として多く出てきたのは、「スーパーのパック入り惣菜を並べたり、冷凍食品をレンチンするだけのとき」という内容でした。
理想は、栄養バランスを考えながら愛情込めて手作りしてあげることなんだそう。スーパーの惣菜や冷凍食品が手抜きであるかは人それぞれですが、理想ごはんのイメージについては共感してしまう要素があります。
しかしながら実際に子どもたちに同じ質問をしてみると、まったく別の回答が返ってくることに気がつきました。
スーパーのコロッケは大歓迎! がっかりするメニューとは?
逆に嫌だなと感じる献立は、「ママがこれでもかと野菜ばっかり料理したとき」、「嫌いな野菜料理ばかりが並んだとき」、「地味な焼き魚がメインだったとき」といったように、市販惣菜や冷凍食品であるかどうかはまったく概念として出てきませんでした。
これは冷静に考えてみると理解が進むかもしれません。
手作りじゃないからという形式的な理由でママやパパを追い詰めたりするのではなく、もっと自然なスタンスで食卓にあがる料理と向き合っているのだと思います。
ですから、どんなに手の込んでいる料理だとしても、自分が苦手なメニューばかり並んでいるとガッカリしてしまうというのは素直な反応。「連日同じものが続いた時」という答も、食事を楽しみにしている気持ちの裏返しと解釈することができます。
つまりここでお伝えしたいのは、親がイメージする手抜き料理が、必ずしも子どものガッカリ料理にはならないということなのです。
疲れているときなどはもちろんのこと、いつだってうしろめたさなど感じる必要はなく、自信を持ってお惣菜を買っていいのでは? と、スーパーマーケット専門家として声をあげたいのです。
スーパーの惣菜を、我が子の前に並べてみた
選んだのは、レンチン以外の調理が一切不要で、包丁やまな板さえも必要としないアイテムばかり。具体的には、カット済ミックス野菜のサラダ、エビのマカロニグラタン、チーズ入りメンチカツ、肉シュウマイ、たらこスパゲッティサラダの5種です。
「買ったものばかりでさみしく感じたりはなかったか?」と質問したところ、「えっ!? まったくないよ。スーパーのお惣菜でマズイものに当たったことないしね。今日はママが忙しかったんだろうなとは思ったけど……」とのことでした。
別日のある日、スーパーの惣菜売り場に一緒にいった時のこと。おいしそうな惣菜を目にした息子が言葉を失ってガラスケースを夢中で観察していたことは印象的でした。
その上で確実に言えるのは、親が毎日のごはん作りから解放されることは、親の休養になるだけでなく、子どもとの時間確保にもつながるということ。今一度、親子でギャップ解消のための確認をしてみてはいかがでしょうか!?
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12