ひょんなことから知人の秘密を知ってしまった場合、あなたならそのことを黙っていますか? それとも面白おかしく話してしまいますか?
今回はそんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。
主婦の青柳小春さん(仮名・34歳)は、夫の健人さん(仮名・36歳/会社員)と4歳の息子の湊くん(仮名)と都内のマンションで暮らしています。
「私の小学生の頃からの親友の奈美(34歳/主婦)が夫の海外赴任に同行して、ここ3年ほどタイで暮らしていたんですが、久しぶりに帰ってくることになったんですよ」
せっかくの再会に腰を据えてゆっくり話をしたいし、日本食や温泉も堪能したいとの奈美さんの希望もあったので、一緒に2泊3日の熱海旅行をしようということになったそう。
「息子の湊は私の両親が預かってくれることになり、夫の健人も『せっかくの機会なんだし僕のことは気にせず行ってきたらいいよ。楽しんできて』と優しく送り出してくれたんですよ」
「ですが1日目の夜に、奈美の実家で飼っている高齢猫ちゃんの体調が急変して『もしかしたら危ないかもしれない』と連絡が来たんです。私が『せっかく日本にいるんだから猫ちゃんに会いに行ってあげてよ。私との旅行はまたいつだってできるから』と背中を押すと、奈美は申し訳なさそうに2日目の早朝にホテルを出て実家に帰っていきました」
そして小春さんもしばらくひとりで熱海の街を散歩すると、2泊目はキャンセルして東京に帰ることにしたそう。
「せっかくだから楽しもうとしてみたのですが、私はひとり旅どころかひとりで外食するのも苦手なタイプなんですよ」
それにサプライズ的にいきなり家にいたら、きっと健人さんが喜んでくれるに違いないと思い、ワクワクしながら家路につきました。
「やっと自宅に着いて玄関を開けたら、なぜか仕事に行っているはずの健人の靴と、見知らぬハイヒールがあって……『え、女を連れ込んでいるってこと? 信じられない最悪!』と思いましたね」
「私が『ちょっと何やってんの?』と声を張って入って行ったら、ソファーで半裸の女と絡み合っていた健人がパッと立ち上がりました。『ごめん! でも違うんだ! 説明させて』と興奮している私を静止しようとしてきたので『汚らわしい手で触らないで!』と突き飛ばして、揉み合い状態になってしまったんですよ」
すると健人さんが「これは不倫とかじゃなくて、彼女はデリヘル嬢だから! すぐに帰ってもらうから! ね? 大丈夫だから」と小春さんの両腕を掴んで訴えかけてきました。
「はぁ? なにそれと思い、ふと半裸の女を見てみたら……手で顔を隠しつつうつむいていたのですが、どこかで見覚えのあるような気がしたんですよね」
「その瞬間、私のいない隙にデリヘル嬢を呼ばれたのもかなりショックな出来事ですが、そんなことより、同じ幼稚園に通う顔見知りのママに、自分が人妻デリヘルでバイトしているとバレる方が何倍もキツいだろうな……とつい同情してしまったんですよね」
ちなみに、あっくんママと自分の夫が半裸で絡んでいたことについて小春さんは「嫌は嫌だけど、お互いに知らない同士で何より間にお金が発生しているのでまだマシですよね。お互いに恋心があってやっていたら怒り大爆発ですが」という考えだそう。
そして健人さんと小春さん2人で、あっくんママを見送りました。
「私は何となくご近所の目が気になり『この女は、妻のいない隙に夫が呼んだデリヘル嬢ではなく私の友達ですよ』というアピールのために、エレベーターの前までわざわざ見送って笑顔で手を振ったんですよ」
あっくんママも引きつった笑顔で手を振り返していたそう。
「その後は夫にブチ切れました。
「あと、新しいソファーを買ってもらうことを条件にとりあえず和解してあげることにしたんですよ。『こんな汚れたソファーに私や湊を座らせる気? そんなのありえないよね?』と私が他の選択肢を与えないで責め立てたんです」
そしてひょんなことからあっくんママの弱みを握ってしまった小春さんは、幼稚園での役員会でのストレスがなくなったそう。
「あの高圧的で有名なあっくんママが常に味方をしてくれるので、なんていうかもう無双状態ですね(笑)。もちろん誰にも秘密はバラしていませんし、これからも付かず離れずな関係のままでいるつもりです」と微笑む小春さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
今回はそんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。
久々に会う幼なじみと2泊3日の旅行へ
主婦の青柳小春さん(仮名・34歳)は、夫の健人さん(仮名・36歳/会社員)と4歳の息子の湊くん(仮名)と都内のマンションで暮らしています。
「私の小学生の頃からの親友の奈美(34歳/主婦)が夫の海外赴任に同行して、ここ3年ほどタイで暮らしていたんですが、久しぶりに帰ってくることになったんですよ」
せっかくの再会に腰を据えてゆっくり話をしたいし、日本食や温泉も堪能したいとの奈美さんの希望もあったので、一緒に2泊3日の熱海旅行をしようということになったそう。
「息子の湊は私の両親が預かってくれることになり、夫の健人も『せっかくの機会なんだし僕のことは気にせず行ってきたらいいよ。楽しんできて』と優しく送り出してくれたんですよ」
1泊目で旅行を急きょキャンセルすることに
久しぶりの友達との旅行で思いっきり羽を伸ばすぞ! と張り切っていた小春さんでしたが……。「ですが1日目の夜に、奈美の実家で飼っている高齢猫ちゃんの体調が急変して『もしかしたら危ないかもしれない』と連絡が来たんです。私が『せっかく日本にいるんだから猫ちゃんに会いに行ってあげてよ。私との旅行はまたいつだってできるから』と背中を押すと、奈美は申し訳なさそうに2日目の早朝にホテルを出て実家に帰っていきました」
そして小春さんもしばらくひとりで熱海の街を散歩すると、2泊目はキャンセルして東京に帰ることにしたそう。
「せっかくだから楽しもうとしてみたのですが、私はひとり旅どころかひとりで外食するのも苦手なタイプなんですよ」
それにサプライズ的にいきなり家にいたら、きっと健人さんが喜んでくれるに違いないと思い、ワクワクしながら家路につきました。
「やっと自宅に着いて玄関を開けたら、なぜか仕事に行っているはずの健人の靴と、見知らぬハイヒールがあって……『え、女を連れ込んでいるってこと? 信じられない最悪!』と思いましたね」
留守中に呼んでいたのは“プロのお姉さん”だった
息を殺しながらひっそりとリビングに向かうと、健人さんと女性のイチャイチャしている声が聞こえてきたので耐えられなくなった小春さんはドアを開けて突入したそう。
夫がデリヘル
すると健人さんが「これは不倫とかじゃなくて、彼女はデリヘル嬢だから! すぐに帰ってもらうから! ね? 大丈夫だから」と小春さんの両腕を掴んで訴えかけてきました。
「はぁ? なにそれと思い、ふと半裸の女を見てみたら……手で顔を隠しつつうつむいていたのですが、どこかで見覚えのあるような気がしたんですよね」
「幼稚園で見たことある!」デリヘル嬢の正体は
そして小春さんは『あっ! この女、よく見たら湊が通う幼稚園の役員で会長をしてる、高圧的で有名なあっくんママだ!』と思い出したそう。「その瞬間、私のいない隙にデリヘル嬢を呼ばれたのもかなりショックな出来事ですが、そんなことより、同じ幼稚園に通う顔見知りのママに、自分が人妻デリヘルでバイトしているとバレる方が何倍もキツいだろうな……とつい同情してしまったんですよね」
ちなみに、あっくんママと自分の夫が半裸で絡んでいたことについて小春さんは「嫌は嫌だけど、お互いに知らない同士で何より間にお金が発生しているのでまだマシですよね。お互いに恋心があってやっていたら怒り大爆発ですが」という考えだそう。
そして健人さんと小春さん2人で、あっくんママを見送りました。
「私は何となくご近所の目が気になり『この女は、妻のいない隙に夫が呼んだデリヘル嬢ではなく私の友達ですよ』というアピールのために、エレベーターの前までわざわざ見送って笑顔で手を振ったんですよ」
あっくんママも引きつった笑顔で手を振り返していたそう。
「その後は夫にブチ切れました。
一応夫もご近所の目を気にして『なるべく地味な目立たない女性を』とお願いしたと言うので、それで選ばれたのがあっくんママだったんだと思うとちょっと笑ってしまいました。私って意地悪ですね」
こんな汚れたソファーに私や息子を座らせる気?
キツいお灸を据えた結果、健人さんにはもう絶対に風俗は利用しないと約束してもらいました。「あと、新しいソファーを買ってもらうことを条件にとりあえず和解してあげることにしたんですよ。『こんな汚れたソファーに私や湊を座らせる気? そんなのありえないよね?』と私が他の選択肢を与えないで責め立てたんです」
そしてひょんなことからあっくんママの弱みを握ってしまった小春さんは、幼稚園での役員会でのストレスがなくなったそう。
「あの高圧的で有名なあっくんママが常に味方をしてくれるので、なんていうかもう無双状態ですね(笑)。もちろん誰にも秘密はバラしていませんし、これからも付かず離れずな関係のままでいるつもりです」と微笑む小春さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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