すでに売れっ子の橋本環奈が、オーディションなしでヒロインに抜擢された『おむすび』。続く『あんぱん』も、橋本に引けを取らない活躍ぶりで同年代の今田美桜がヒロインということで不安の声も聞こえてきます。しかし! 朝ドラ離脱民にもぜひ『あんぱん』を観てほしい! 朝ドラウォッチャーの筆者が、おすすめの理由をご紹介します。
理由1:モデルとなる「実在の人物」がいる強さ
朝ドラ作品は原作がないものの、モデルとなる実在の人物がいることが多いです。モデルとなる人物もない完全なオリジナルで、さらに時代設定が“現代”のものはヒットが難しい傾向にあります(もちろん『あまちゃん』や『おかえりモネ』などファンの多いヒット作もありますが)。
舞台は昭和、夫婦が『アンパンマン』にたどり着くまで
一方『あんぱん』の舞台は“昭和”。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと同氏の妻・暢(のぶ)の夫婦をモデルにしています。戦前・戦中・戦後と激動の時代のなかで、ふたりが“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語だといいます。フィクションの部分はありますが、モデルとなる人物がいるとヒロインの存在感・深みをより視聴者が感じられるのかもしれません。モデルの有無と時代がすべてではありませんが、『あんぱん』は昭和を舞台に、実在する人物をモデルとした朝ドラの“テッパン”作品なのです。
理由2:朝ドラで「著名人の妻が主人公」はヒットしやすい
また、時代とともに“内助の功”という言葉は失われつつあるかもしれませんが、夫を支える妻の物語は根強い人気があります。
ドキンちゃんのモデルになった人物は
やなせたかしは、国民的アニメ作品『アンパンマン』を生み出し、作品以外でも数々の名言や格言を残している方です。彼は「仕事以外はすべてカミさんに頼っていた」と語っており(女性自身‘02年7月16日号「シリーズ人間」)、“ドキンちゃん”のモデルともいわれる妻の物語は、それだけで惹かれます。
理由3:タイトルが「朝ドラヒットの法則」と合致?!
歴史の長い朝ドラだからこそ、タイトルについてもヒットの法則はいろいろと囁かれています。例えば「5文字」(『ふたりっ子』『ちゅらさん』『あまちゃん』『あさが来た』『おちょやん』)や、「“ん”終わり」(『おしん』『ごちそうさん』『花子とアン』『マッサン』)。また、並べてみると「“あ”はじまり」(『あぐり』『あすか』)もヒット作が多いように感じます。
朝ドラ“初”出演の豪華キャストたち
朝ドラのキャストはいつだって豪華ですが、今回特にそう感じるのは朝ドラ“初”出演の実力派俳優が多いからかもしれません。ヒロインの父役の加瀬亮、妹役の河合優実と原菜乃華。他にも、アニメ『アンパンマン』でめいけんチーズ役などを担う声優の山寺宏一、予告で映し出された風貌がまさに“ジャムおじさん”と話題になった、22年ぶりの朝ドラ出演となる阿部サダヲらも出演します。そして、脚本は朝ドラ『花子とアン』を担い、『ハケンの品格』『Doctor-X 外科医・大門未知子』シリーズなどヒット作を生み出し続ける中園ミホ氏。これは、もう観ないわけにいきません!
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今はNHKプラスの配信コンテンツもあり、時間を問わず朝ドラを楽しめるようになりました。でもハマればハマるほど、リアルタイムで観たくなる不思議な枠。『あんぱん』も、そんな風に楽しめる作品になることを願ってやみません。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201