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亡くなった人とのお別れの場である葬儀。あまり経験することの少ない場面のため失敗を犯してしまうことも。今回は、親友の葬儀で犯してしまった失態で一生の悔いが残ってしまった女性のエピソードをご紹介します。
20年来の友人が心筋梗塞で急逝
今回のエピソードの主人公は智子さん(仮名・43歳)。独身で関西の私立大学の学生課に勤務しています。恋愛経験こそあるものの、どの男性とも結婚まではいかず、今は男性とは縁が無いようです。でもその代わりに、友人は多く、女友達と連れ立って海外旅行に行くのが趣味なんだそうです。智子さんには大親友とも呼べる女性がいました。もう20年来の付き合いになるという一回り上のM子さんです。彼女とは何度も海外旅行へ行き、休日も二人で会ってよく遊んでいました。
ある時、M子さんのお兄さんからLINEが届きます。その内容を見て智子さんは驚愕します。
「心筋梗塞でM子が倒れたという報告でした。
突然の死に悲しみに暮れる智子さん

安置所に通してもらい、親族に混じって悲しみに暮れる智子さん。
「ほかの人も同じようなことを言っていることかもしれませんが、M子は眠っているみたいに穏やかな顔をしていて、事実が信じられませんでした。だって、つい数週間前に一緒に観劇に行ったときもとても元気そうでしたから」
突然のことにただただ驚きが隠せない智子さんですが、あまりに長居をしては悪いと思い、しばしの別れを告げて身支度のためにいったん自宅に戻ることにしました。
火葬場へ向かうマイクロバスでまさかの失態を…!
そして、葬式の当日。親友を喪った寂しさで葬式の間中もずっと泣いていた智子さん。
智子さんは、お兄さんの勧めで火葬場まで同行させてもらうことになっていました。
なんと、そこで智子さんは他のご家族の火葬場行きマイクロバスに乗ってしまうという失態を犯してしまったのです。
「大きな葬儀会場で、何台もずらーっとマイクロバスが並んでいたんです。自分でも間違っちゃいけないと気を付けていたはずなのですが、あまり眠れていなかったのと、親友を失ったショックでぼーっとして確認を怠ってしまいました」
タクシーで火葬会場に向かうも間に合わず
智子さんが自らの失態に気が付いたのは火葬場に到着してからのことです。「私が知っている家族の顔が見えなかったのですが、それは車に同乗していったのかなと思っていました。だから気が付くのが遅れてしまったのです」
案内プレートを見ても、M子さんの名前がどこにもありません。真っ青になりながら案内係の人に尋ねると、ようやく違う火葬場に来てしまったことに気が付きます。
休職してお遍路参りをすることに
葬儀場に戻り、ようやく親族と合流することができた智子さん。骨壺を前にして手を合わせて挨拶を済ませて帰宅しました。
ただでさえ、葬儀というのは慣れているものではなく、流れが把握できないことも少なくありません。さらに、大切な人を喪ったショックも大きく、失敗してしまいがちです。
とは言え、M子さんも、そんな智子さんの失態を責めてはいないのではないでしょうか。それどころか、そこまで大切に思っていたことを知って、「よき友人を持つことができた」と思っていることでしょう。
<文/浅川玲奈>
【浅川玲奈】
平安京で生まれ江戸で育ったアラサー文学少女、と自分で言ってしまう婚活マニア。最近の日課は近所の雑貨店で買ってきたサボテンの観察。シアワセになりたいがクチぐせ。