父は沢村一樹。
男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、国内外を制する勢いがある野村兄弟の兄・野村大貴を解説する。
令和初のメンズノンノモデル
『MEN’S NON-NO』誌の専属モデルが書いたブログが、同誌WEB版に掲載れている。その中で、特に印象的なものがある。タイトルには「初ブログを、布団の中で書いています!笑」とあり、書き出しあたりに「このブログは、冬の寒い朝に布団から出られずぬくぬくしながら書いています(笑)」と記されている。書き手の名前は、野村大貴。
2019年にモデルオーディションでグランプリを受賞して、同誌所属モデルになった。2019年というと令和元年。令和初のメンノンモデル誕生である。ぬくぬくした自由調で書いてしまえる、この大型新人感。
自由でのびやかでもある。その才能がポテンシャルに満ち溢れていることが、その自由調の文体から伝わる。
着飾らない性格
現場入りした野村が、ヘアスタイリング中。カメラを向けられ、何ともやわらかな声色で「今日お昼からなのに起きれるか心配で」と言ってさわやかな緊張感を伝える。そうして面映ゆそうにしながら、ちらりとカメラに視線をやる。しゃきっと起きて撮影準備をする状況でさえ、ブログのぬくぬく感の延長にある。メンズノンノ令和代表として、新たに端正なルックが打ち出されながら、その内面世界は常に適温が保たれている。
ファッションを着こなすモデルだから、着飾りは当然洗練されているのだけれど、性格は全然着飾らない。ナチュラルで取っ付きやすく、愛らしい。カメラを一瞥した照れくさい表情には、人懐っこさも感じられる。
イメチェンが話題に
憧れの先輩は、2009年にメンズノンノモデルになった栁俊太郎。2020年に「メンズノンノモデルが見つけた今季No.1パンツはこれだ!」でモデル4人が横並びになって、それぞれデニムとスラックスをチョイスした栁と野村が共演した。栁も野村もモデルとしての外面的特徴は、クールを極めている。この共演では短髪だが、基本的に長髪の色っぽさも共通して魅力的である。それが最近、野村は長髪をばっさり切ってしまったのである。
短髪になった写真をInstagramに投稿。キャプション冒頭に「お気に召せ」と書いた。これまたクールな言い回しに思えるが、「召せ」という語尾には、どこかクールな中の照れ隠しのようなぬくぬく調を感じずにはいられない。
国内外を制する勢いがある野村兄弟
こうした投稿が話題になったのは、初めてではない。彼の父・沢村一樹が2024年に投稿した父子プラス沢村の姪(女優・野村麻純)と七輪を囲むスリーショットに、興味の眼差しが向けられた。このときはもちろん長髪スタイルである。野村は2021年に早くもMEN’S NON-NO専属モデルを卒業した。2023年には、野村の弟で、沢村の次男・康太が、メンノンモデルになった。日本を代表するハンサム俳優の長男と次男が揃ってメンノンモデル。
兄のクールに対して弟は、わかりやすいキュートを体現。松本まりか主演ドラマ『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、2024年)での高校生役で大ブレイク後、2025年5月には初主演映画『6人ぼっち』の公開が控える野村康太だが、野村大貴が眼差すフィールドは「モデルは息の短い職業だと思うから」(「メンズノンノモデル、卒業!野村大貴インタビュー」)と本人が語るモデルの世界である。
国内外を制する勢いがある野村兄弟は、今もっとも旬な存在だ。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu