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親となんらかの理由で距離を置いていても、避けられないのが冠婚葬祭。なかでも葬儀は親類が集まる行事のため、つつがなく済ませたいものです。
今回は、10年前から母親とは別居をしているという女性が、祖母の葬儀で遭遇した母とのトラブルを紹介します。
年下の恋人といちゃいちゃ。シンママの母親と絶縁
近藤公佳さん(36歳・仮名)は、4年前に結婚し今は夫と二人で暮らしています。実家には母・景子さん(58歳・仮名)がいます。公佳さんの両親は、公佳さんが幼稚園の頃に離婚したそうです。「母はお金や男性にルーズな性格で、一緒に暮らしていたときにも年下の恋人がいました。子どもの頃は母の実家が近かったので、祖母がよく来てくれてご飯を作ってくれたりしました。今はもう閉めてしまいましたが、母の叔父が経営していた飲食店で母は働いていたので、親戚づきあいはずっと続いていました」
公佳さんは10年前に実家を出てからは、母とは連絡を取っていませんでした。4年前に結婚したときも、夫に事情を話して入籍だけで済ませました。
「母は叔父の店に働きに来ていた板前を好きになったり、惚れっぽい性格で子どもの頃はよく振り回されたんです。
そうしたら、負けないと言わんばかりに、母も年下の恋人を連れてきたんです……。目の前で手をつないでいちゃいちゃしたり。これには呆れましたね。夫は最初は身内だけの式を挙げようと言ってくれていたのですが、いろいろと面倒だと察したのか、記念写真だけ撮影して入籍だけで済ました」
祖母の急死。葬儀で再会した母の姿に絶句

「最初は気乗りがしませんでした。というのも、親戚から、母が母の恋人を葬儀に参列させると言ってトラブルになっていると聞いていたからです。親戚にだけ迷惑をかけるわけにいかないので、私も葬儀には出席することを決めました」
公佳さんは、通夜には参列せず葬儀から出席。葬儀場で久しぶりに会う母の姿に驚いたと言います。
「私が子どもの頃の授業参観でも、金髪に襟元を抜いた着物姿で現れて、本当に恥ずかしかった記憶があるんです……。
公佳さんは、母にネイルを落とすように説得したそうです。
「母はおしゃれのつもりだったので、『あなただっていつもしているじゃない』と言って、機嫌が悪くなりました。パンストも履いて貰いました。祖母の葬儀はほぼ身内でしたが、母の姿を見慣れているせいなのか周りからの非難があまりなかったのが幸いでした」
祖母の遺影を見て、介護しなかったことを後悔

「それまで、祖母の介護なども母に任せっきりだったので、葬儀の準備などを手伝えなかったことは後悔しました……。でも遺影に祖母が40代の頃の若い写真が使われていたんです。ちょっと首を傾げたような祖母らしい可愛らしい雰囲気の写真でした。母に『ほかの写真は無かったの?』と聞いたら口げんかになりましたね……。母からはそれまでの祖母の介護の苦労をぶつけられました」
非常識な母と会って疲れたという公佳さん。ただ、祖母の介護を任せきりにしてしまった負い目もあり、それ以上は指摘できなかったといいます。
「親とは距離を置くことはできますが、身内の葬儀のようなときは会わないわけにはいかないって感じました。
お母さんは親世代とは価値観も違うため、自分が大人になっても衝突してしまうこともあります。冠婚葬祭の場で揉めないためにも、日ごろからのコミュニケーションが大事と言えそうです。
<取材・文/池守りぜね イラスト/やましたともこ>